超能力高校生はパフェがお好き

「超能力高校生はパフェがお好き」 第15話

第15話 「死闘再び」

「先程の映像は夕方のニュースの話題のコーナーで放送されるらしい。時間は6時台だそうだ」
そう神城が言うと英梨は
「じゃあ、それまで暇ですよね。新世界にでも行って何か美味しいものでも食べましょうよ」
そう言って神城に甘えて食い下がる。
「新世界? なんでまた……」
「そこが美味しいもの沢山あるそうなんです」
「新世界って確か……串かつが有名だっけ?」
そう神城が言うと英梨は興奮状態になって
「そうです!美味しいんですよ串かつ。いきましょう~よ。ねえ!」
そう言って増々甘えて来る。
「仕方無いな、夕方までは特に用も無いしね」
神城が折れると英梨の喜びはすさまじいものがあった。
子犬が喜ぶと言うのはこのような状態を言うのかと鈴和は思った。そしてつぶやく様に
「私は行かない。部屋で休んでる。昨夜ずっと能力使っていたから、休んでおくわ。だから英梨私の分も食べて来て」
鈴和はそう言ってロビーのソファに体を沈めた。
心なし顔色も良くない様だ。
「鈴和さん……そんなに疲れていたんですか? 私知りませんでした。すいません……」
英梨がそう言って詫びると鈴和は
「何で英梨が謝るの!それに神城先輩となら、私が行かない方が良いでしょう!いいのよ。
夕方迄休んでいれば元に戻るから」
そう言って笑っている。
「すいません。じゃあお言葉に甘えます」
「そ言う事なら、僕達二人で行ってくるから、ちゃんと休んでるんだよ!」
神城もそう言って、二人は新世界へと行ってしまった。


二人の気が全く感じ無くなると鈴和はホテルを出て、駅とは反対の方向へ歩いて行く。
そして人気の無い公園に来ると
「もうそろそろ姿を表したらどうなの、サツキ!」
鈴和はかってヒロポン事件で死闘を繰り広げた相手の名を呼んだ。
すると公園の木の影から、かっての異世界から来た能力者サツキが姿を表した
「やはり判っていたのかい、それで関係無い人物を逃したのか……まあいい、残りはお前を殺した後にゆっくりとやらして貰うから」
そう言って黒ずくめの姿を表した。
「お前にやられて関西に移動になって、当分復讐の機会は無いかと思っていたんだけどね。
こりゃ神様が機会を与えてくだすったと思って、この際死んで貰うから」
そう言うと両手に気の円盤状の形をつくり、物凄い勢いで回転させ始めた。
「この気の円盤を見たかい。これでお前の頭を切り刻んでやる」
そう言うと回転させていた円盤を鈴和に向かって投げつける。
音も無く物凄い勢いで回転して来た円盤は避けた鈴和の脇をかすめて、後ろの木を傷つけ、
Uターンして戻って来る。
どうやら、完全に制御出来る様になったみたいだ。
「不味いな」
鈴和は短くつぶやくと、なるべくサツキの目標にならない様に移動して行く。
「くそ!あいつ能力上がってるじゃん!まずいよ」
そうつぶやきながら鈴和はサツキ目掛けて気の弾を数発投げつける。
サツキはそれらを全て円盤で砕いて行く
「もうそんなへなちょこな弾は通用しないからね。今度こそ死んで貰うよ」
そう言ったかと思うと今度は両方の手で廻っていた円盤を同時に投げつけた。
一枚をかわした時、もう一枚がその避けて行った方にやって来る。
それもかわした積りだったが、かわしきれずに風で膨らんだブラウスの端をきって行く。
体は何とか大丈夫だったと思った瞬間にもう一枚が脇腹をかすめて行く
「痛!」
脇腹を抑えると痛みを感じる。
どうやら、気で一応体を覆ってるので直接の傷は無いものの、体の内側にダメージを貰ってしまった様だ。きっとアザになってると思う。
「くそ!どうするかなぁ、昨日能力使って疲れてるから、不利だよね。きっと今までこのチャンスを狙っていたんだろうな」
そう言って、サツキからは直接見えない公園のモニュメントの影に身を隠して様子を見る。
段々と脇腹が痛くなって来る。
「不味いな、早く決着つけなくちゃ」
鈴和は気を刀の形にして構える。
この刀でサツキの円盤を切り刻む積りだ。硬く作られた方が相手を負かす事が出来る。
鈴和は気を充実させ、作り上げた刀を硬くしていく。
そして、モニュメントから飛び出しサツキに向かっていく。
体力が無い今、長期戦は不利と考えて、一気に勝負に出たのだ。
「ふん!来たね。切り刻んでやるよ」
そう言ってサツキは二枚の円盤を時間差で投げつけて来る。
鈴和はまず、最初の一枚を「エイッ!」と気合もろとも真っ二つにする。
その瞬間に円盤は消えて無くなる。
そして、遅れて襲って来た二枚目に切り込むと
切り込んだ感覚があった瞬間に刀も円盤も同時に消えて無くなった。
”おあいこ”になったのだ。

鈴和がほっとした瞬間、サツキの気の紐が飛んで来て鈴和の両足に巻き付く。
もんどり打って倒れる鈴和
「ふん、疲れているあんたの気はあの刀でもう終わりだろう! だが、あたしは違う。未だ未だお前を殺す気はたっぷりとあるからな」
そう言うと今度はサツキが気で刀を出して、鈴和に見せる。
「これで、一気に殺す!」
そう言うと鈴和目掛けて突き刺す!
鈴和は身を避けて僅かにかわす。
「ほう、かわしたか、じゃあ今度はあの世に送ってやるよ」
鈴和は、この時覚悟をした。
気で動きを制限されているので、テレポートも出来ない。
サツキがその気になれば、自分の動きも止める事が出来るのだ。
「お父さん、お母さん、御免なさい! 康子元気でね!」
そう心の中で想い覚悟をする。
「ふん、大人なしくなったかい、じゃあ楽にさせてやるよ」
そう言ったかと思うと気の刀を鈴和目掛けて振り下ろした。

「超能力高校生はパフェがお好き」 第14話

 第13話 「神城の能力」

 鈴和は英梨のカーテンを開ける音で目が覚めた。
ぼんやりと見ると、英梨が窓から外を興味深そうな目で見ている。
「どうしたの?」
良く頭がまわらない状態で英梨に話し掛けると
「今日、TVとか取材に来ますかねえ?」
そう言って期待した顔をしている。
「さあ、判らないけど、神城先輩の話だと来る様な事だったから、来ると思うわよ。それに騒動になってくれないと、私達もこれから困るでしょう」
そう言う鈴和の言葉に英梨は
「そうですよねえ。楽しみです」
そう言ってニヤついている。
「それよりも、夕べはあれから動画の編集したから眠いわ」
そう言ってあくびをすると英梨は
「何言ってるんですか、編集したのは私と神城さんで、鈴和さんは帰りにコンビニで買って来たデザートを食べていたじゃ無いですか」
そう言ってちょっとむくれると鈴和は
「あら、二人だけの方が楽しいと思って私は遠慮していたのよ。昨日だって編集点見つける為にマウスを動かしていたら、あなたが上手く見つけられないので、 神城先輩が貴方がマウス握ってる上から触って動かしていたじゃ無い。それに手なんか握りあってりして。ちゃんと見ていたのよ」
鈴和は呆れながらもしっかりとその点を言うのだ。
「えへへ、見ていました!? たくさん神城さんの手を握って仕舞いました」
そう言いながらウットリと自分の手を眺めている。
「神城さんやはり素敵ですよね」
その英梨の言葉に鈴和は
「でもさあ、神城先輩の能力が「錯覚」なら私達が見ている神城先輩の姿も錯覚なのかも知れないと考えた事無いの?」
それを聞いた英梨の表情は見ものだった。
「え!まさか、それで素敵に見えてるだけなんですか? 本当は変な顔だったりするとか……」
言いながら英梨は半分涙目になっている。それを見て鈴和は
「冗談よ、冗談、そこまで好きなんだ……」
「そうなんです……すいません……」
鈴和はここまでなら程度は康子よりも上かな?と思うのだった。
「私、シャワー浴びるからね」
そう英梨に言って浴室で体を洗っていると、浴室の扉が少し開いて、英梨が覗いている。
「こら!何見てんの? あなた神城先輩が好きな癖にそっちの気もあるの?」
そう鈴和が半分冗談に言うと英梨は
「違いますよ。鈴和さん胸は大きいし、ウエストはくびれてるし、お尻は持ち上がってるし、羨ましいなぁ~と思って見ていたのです」
「なに言ってるの、英梨だってスタイル良いでしょう」
女子二人が他愛ない会話をしていると、ドアをノックする音がする。
英梨がドアの小窓から除くと神城だった。
少しだけドアを開けると神城が
「おはよう、今良いかな?」と様子を伺うので英梨は
「鈴和さんが今シャワー浴びていて……」
そこまで言うと後ろから
「私ならもう出たわよ」
その声に振り向くと、鈴和は素肌にバスタオルを巻いて出て来ていた。
「ちょっ! 鈴和さん、そんな格好で!」
驚く英梨に鈴和は
「大丈夫よ、神城先輩とは、何回も一緒にお風呂に入った仲だから」
そう言って涼しい顔をしている。英梨は
「ええ!二人はそう言う関係だったのですか!わたし知らなかった!」
そう言って今にも泣きだしそうだった。慌てたのが神城で
「違う!違うよ!一緒にお風呂に入っていたのは幼稚園の頃だよ。幼い頃の話さ!」
「ならいいですけど……」
英梨は本当に泣きだしそうな感じになっていた。
英梨の後ろで舌を出して笑ってる鈴和に神城は
「鈴和ちゃんもいい加減にしなさい!」
珍しくキツく言うのだった。
「はあ~い」
鈴和は珍しく素直に笑いながらだが言う事を聞いた。
だが、英梨は本当の神城の事を知ったらどう反応するか、それも気がかりだった。

着替えた鈴和と英梨は神城の部屋に呼ばれていた。
神城がテーブルに昨日英梨と編集した動画が入ったSDカードが並べられている。
「右から順に、昨日の霊の証言から、霊が出て来るシーンも含めた完全版が入っているもの。
次が霊の証言だけが入っているもの。それから一番左が霊が出て来るシーンだけが入ってるものとなっている。それぞれ右から番号が振ってある」
神城が二人に改めて説明をすると、鈴和が
「この3番目の短いシーンだけが入ってるのはマスコミ用?」
そう訊くと神城は
「そうさ、まずはこれをマスコミに手渡して、騒ぎを大きくして貰う。そしてその後マックスと交渉する。これで大人しくこっちの条件を呑めば問題無いがね」
そう言いながらノートPCにSDカードを挿して再生を始める。
画面には如何にもおどろおどろしい感じで暗闇から霊の姿がぼんやりと浮かんでは消えると言う事を繰り返してる。それを見ながら鈴和は
「ほんと、この時演出するのに苦労したのよね。みんな慣れて無いからいきなりパッと出るのよね。あれだと怖くもなんとも無いからさあ」
英梨も思い出したのか、笑い出した。
「霊魂って本当は怖く無いんですね。わたし初めて知りました」
「あら、英梨は今まで恐いと思っていたの?」
そう訊く鈴和に英梨は
「そりゃあそうですよ。お化けとか幽霊って恐いって相場が決まってます」

「先輩、この映像は何時渡すのですか?」
鈴和の質問に神城は
「うん、今日の午前11にここのホテルのロビーで会う事になっているんだ」
そう言って腕時計を見る。
「そろそろいいかな? じゃあ僕はマスコミの人と会って来るから、後をついて来ちゃイケナイよ。僕は能力を使うからね」
それを聞いて、二人は遠くからでも見たいと思ってしまった。
「じゃあ遠くからだよ、半径10m以内には入らない事いいね!」
「はあ~い」
二人は神城の能力を見る事が出来る様になった。

鈴和と英梨は神城が部屋を出てから3分ほど遅れて後を追った。
ロビーの端のテーブルと椅子のある場所に既に神城は座っていた。
手にはノートPCがある。
相手はTV局のディレクターとプロデューサーと思わしき男女二人連れで、見た感じでは女性がディレクターと言う感じだ。
神城は何やら名刺を渡している。
それを見た二人は感激した感じにも見える表情をしていた。
やがて神城がPCの映像を二人に見せ始める。
さっき鈴和と英梨が見た昨日編集した映像だ。
その映像を見た二人は興奮している。
明らかに顔が上気していろのが鈴和と英梨の場所からでも良く判る。
神城がSDカードを抜いて二人に渡すと二人は何回も礼を言って帰って行く。
その言葉に「今夜の放送で使わさせて戴きます」と言う文言が聞き取れた。

鈴和と英梨は何が起こったのか全く判らなかった。
なぜ、神城に二人はあんなにペコペコしていたのか……
二人を見送った神城は英梨と鈴和を見つけると、傍に寄って来た。
その瞬間、神城は中年の何か偉そうな人物に変わり、二人に声を掛けた。
「私はこういうものです」そう言って名刺を渡された。
そこには「N◯K放送センター映像エンジニアリング、チーフディレクター 松本弧門」と書かれていた。
「実はですね。あのような映像はウチでは使用出来ませんのでおたくで使えませんかね。映像の他にデーターもその中に入っていますから」
二人はその言葉を聞きながら、渡された名刺を見ていると松本と自己紹介した人物は指をパチンと鳴らした。
その瞬間、二人の目の前には神城が笑って立っていた。
「どうだい、お嬢さん方、僕の能力を理解してくれたかな?」
あっけに取られている二人だが鈴和が先に我に返った。
「凄い能力ね!初めて経験したわ」
その鈴和の言葉で英梨も我に返った。
「神城さん……凄いです!」
その英梨の様子を見て鈴和は、増々神城にのめり込みそうな英梨を心配するのだった。

「まあ、今日の夕方のニュースで放送されるそうだから、楽しみだよ。
種は蒔かれた……これからどう育つかさ!」
神城はそう言って二人にウインクするのだった。

「超能力高校生はパフェがお好き」 第13話

第13話 「恋する串かつ」

 神城が伊丹の鈴和達の泊まってるホテルに着いたのは翌日も日が暮れようとした頃だった。
「先輩遅いですよ!朝のうちに来るかと思っていたのに」
そう鈴和がむくれて言うと神城は
「いやね、今回の事で色々と仕込みがあってね。それで遅くなったんだ」
二人のやりとりを見ていた英梨は
「神城さん!わたし、名古屋の大曽根の佐々木英梨です。以前フォーラムでご一緒させて戴いた者です」
そう自己紹介すると、神城は
「ああ、佐々木さん暫くぶりです。お元気でした?」
「ああ、わたしの事覚えていてくださったのですね。感激です」
英梨は神城のファンだったのか、とその時鈴和は思って心の中で苦笑した。

神城は流石に鈴和と英梨の部屋には行けないので自分でもツインの部屋を取っていた。
「でも私たちの部屋より広い感じ」
部屋の中を見回した鈴和が神城に言うと
「それはそうさ、ここを作戦会議に使うと思ってツインでも広い部屋を取ったのさ」
神城はそう鈴和に説明をすると英梨が
「さすがは神城さんです!」
そう言ってうっとりしている。
鈴和はここに康子がいなくて良かったと思い、英梨と康子は会わせてはならないと思った。

「じゃあ具体的な話に入るよ。こっちに来る前にこのマンションの建設現場に幽霊がでる、と言う情報をマスコミに流しておいた。明日にはきっとTVの取材が入るだろう。そして騒ぎになる」
神城は二人を見ながら更に
「そこで、我々が除霊としてマックスと交渉する。
その時に鈴和ちゃんの力で現場の霊たちにマックスの悪行を話させそれを動画に撮影したものを見せる。そして交渉する」
「なんか、甘くありません?もっとガツンとやりましょうよ」
英梨が興奮状態で神城に迫る。最も違う興奮状態でもあったのだが……

「大丈夫、恐らくそんな事ではあいつ等は引き下がらないだろうから、その動画をマスコミに流して話を一挙に広める。そして、これは最後の作戦だが」
そう言って神城は何枚かの紙を出してみせた。
「これは?」
不思議そうな顔をしている二人を前にして神城は
「これを良く読んでご覧」
言われて見てみるとそこには
「不動産取引……土地の取引の書類だわ!」
驚く英梨に神城は
「そう、僕の能力「錯覚」を使って、マックスを騙す!そして騙された人たちの損害を補填する」
「補填って皆亡くなってるのに……」
そう英梨が言うと神城は
「そこは、慰霊碑を立てても良いし、遺族に返しても良いと思っているんだ」
「でも、そんなにお金あるのかしら?」
鈴和がそう言うと神城はニヤリと笑い
「マックスの親会社はね、M不動産なんだ。マックスの立てたマンションは建築後M不動産が買い取ってるがね、この二つは親と子の関係さ」
「M不動産って言ったら日本でも指折りの会社で、異世界なら志摩さんの関係だわ」
鈴和はそうつぶやく様に言った。
「志摩さんは今回は関係無いけれどね。だから懐具合を心配する事は無いんだよ」
神城はそう言って自信ありげに話すのだった。

「じゃあ鈴和ちゃん、英梨ちゃんと一緒に行って、工事現場の霊たちに今僕が言った事を伝えて、それからさっきの証言を撮影してきて」
神城はそう言って英梨にメガネの形状の物を渡した。
「神城さんこれは……」
困惑する英梨に神城は
「これはね。関西支部に寄って借りて来たんだけれども、このメガネがカメラになっていて、無線でこの媒体に記録される。メガネの縁にボタンがあり、記録が 始まるとグラスにうっすらとRECの文字が浮来でる様になっているんだ。やって見てくれる。そしてもう一度押すと止まると言う仕組みなんだ」
英梨は神城に言われた様にメガネを掛けて記録媒体を手に取る。それはタバコケースより小さく、ピルケースほどだった。
「これはどれぐらい記録出来るんですか?また撮影の出来るバッテリーはどの位なんですか?」
神城は英梨の質問に最もだと思いながら
「記録はHDSDで、早さはCLASS20、要領は2テラバイトだ。ケースにはバッテリーも入っていて連続24時間撮影出来る。但しズーム機能は無い」

英梨はそれだけ訊けば充分だった。
早速セットした道具を使ってみた。
縁のボタンを押すとレンズの部分にRECの文字がうっすらと映る。もう一度押すとそれが消えた。
使いやすいと思ったし、自分の名古屋支部にも欲しいと思った。やはり関西の方が進んでるのかと、その時思っていた。

「じゃあ行ってくるわ」
鈴和はそう言い残して、英梨を伴うとテレポートして姿を消して行った。
残った神城はノートPCを出すとLANに接続して、ネットの色々な掲示板に、マンションの霊の噂を書き込み始めた。マックスのHPにもあること無いことを書き込んでいく。
「さて種は巻かれた。後はどう育つかなだな?」
そう言って楽しそうに笑うのだった。
神城としても、今回能力を本格的に使うのは久しぶりなのだ。余りにも危険なので、普段は組織から使用を制限されている能力で、本気を出せば只の白い紙切れ を1万円札と思い込ませる事も朝飯前で、全く違う人物と思い込ませたり、さらには、そこには居ない人物が居て、しかも会話した様に思い込ませる事すら出来 るのだった。
こんなのを、やたらやられては困るので組織も簡単な錯覚だけに普段は制限していたのだ。
「二人が帰るまで、街中で能力のトレーニングをしてくるかな」
そう言うと神城はやはりテレポートを使って消えて行った。
その晩、伊丹には有名芸能人の誰それが街を歩いていたとか、MLBにいたイチローが亡くなった仰木監督と屋台で一杯飲んでいたとか他愛ない噂が広まっていった。

さて、鈴和と英梨は昨日の霊たちを呼び出して、事情を説明し、神城の計画も話して協力を求めた。
「そんな、我々の為に……こうなったらなにもかも協力します」
「ありがとう!、あ、それから、多分明日からマスコミが来ると思うのだけど、その人達にも多少協力してやってね。そうするとマックスに圧力になるから」
そう鈴和が言うと霊は大層喜んで
「それなら、思いきり脅かしてあげましょう」
となんだか変な方向になって来たと英梨は思いながらしっかりと記録していた。

事情を理解した霊達は、それぞれ自分の事を正直に、多少大げさに語って行った。
すべてが終わった頃には日付が変わろうとしていた。
「お腹減った……」
英梨は心の底、いや腹の底からそう思っていた。
「こんなにお腹減ったら能力も使え無いよ……」
帰り道英梨は鈴和に
「何処かで何か食べて帰りましょうよ。もうお腹減って……」
「そうねえ、私もパフェが食べたいから、ファミレスでも寄りましょうか?」
「ええ~またファミレスですかぁ~関西ですよ!大阪ですよ!食い倒れですよ!」
「そうは言っても、この時間でやってる店は……」
そう言って鈴和と英梨が周りを見た処、1件だけ明かりが点いていた。
「あそこ、きっと食べ物屋さんですよ。あそこ入りましょう!」
そう言って英梨は鈴和をグイグイ引っ張って行く。
鈴和はコンビニで何か買って帰る積りだったのだ。
「あそこ、パフェ無いだろうし……」
「今回は私の顔を立てて下さい」
英梨のその一言で鈴和は折れてしまった。
「あ、あそこ串かつ屋さんだ!」
その時の英梨の嬉しそうな顔と声は一生忘れないだろうと鈴和は思うのだった。

「いらっしゃい!」
景気の良い声に迎えられて店内に入ると店は2人ほどが居て、チューハイらしきものを飲んでいた。
二人はカウンターに腰掛けると英梨が「何飲みます?」と訊いて来る
「何って私達未成年よ。烏龍茶でしよう」
英梨は何かを期待していた様だが
「おじさん!盛り合わせを二人分揚げて下さい。それとウーロン茶二つ!」
二人のやりとりを訊いた店主は笑っていたが
「なんだい、若い子がウチみたいな店に来るなんて、それもこんな時間に、なんか悪い事していた遅くなったのかい?」
そう訊かれたので英梨と鈴和はこれは使えると思った。
「そうなんです。この先のマンションの建設現場ありますよね? あそこで私達、お化けを見たんです! 怖かった~」
英梨が芝居毛たっぷりに言うのに店に居た二人の男は
「やっぱり出たのかいお嬢ちゃん! 俺もねえこの前なんか変な感じがしたんだよ! こりゃ大変だ!みんなに教えなくちゃ!」
二人はそう言って勘定を払うと外に出て行った。
それを見た店主は
「あ~あ、あの二人はこの辺じゃ噂をまき散らす存在として知られているんだ。きっと伊丹中に明日には広まるぞ」
そう言って笑ってる。

鈴和が店内を見ると「二度漬け禁止」とか「当店は、素材、油、衣、等吟味しておりますので、胸焼けなどは一切心配の程はございません」とか色々と書いてある。
「おじさん、二度漬けって、一度かじった串かつをソースに漬けたら駄目と言う事だよね?」
英梨がそう訊くと店主は「それはね、大阪で、いや日本中で串かつを食べる時にやってはイケナイ事なんだよ」
そう言って説明してくれた。
鈴和は、そういえば東京でもあちこちにこういう店があったと思いだした。
「お待ちどう様」
そう言いながら一本ずつ点店主が目の前に揚げてくれる。
二人はそれを手に取り、ソーズに漬けて口の中に入れて噛み締めてみる。
ソースの甘辛い味と衣から出て来る肉汁の旨み、それが渾然一体となって鈴和の味覚を襲って来る。また、カラット揚がった衣もそれを引き立てるのだった。
「美味しい!」
思わず笑顔になる。隣の英梨を見ると笑う様な泣くような顔で食べている。
「おじさん、美味しい!」
鈴和の呼びかけに店主は親指を立てて前に出すのだった。

満足しての帰り道、英梨は
「ウチの傍の守山自衛隊の傍にも美味しい串かつ屋さんがあるんですよ。店売りもしていて、小学校の時に塾とかの帰りに何本か買って食べながら帰った事を思い出しました」
それを聴きながら、鈴和はちょっとそれは羨ましいと思うのだった。

「超能力高校生はパフェがお好き」 第12話

第12話 「霊の告白、悪徳業者の手口」

 真っ暗な闇の中で鈴和と英梨は霊と対峙していた。
「そう、別にそう気を使ってくれなくても、無傷で帰るつもりだけれどもね」
鈴和はそう言って霊を刺激する。
英梨は霊が言った事は判らないが鈴和の脳内をスキャンしているので、会話が手に取る様に判るのだが「鈴和さん強気すぎるよ」と思っていた。
そしたら「大丈夫だよ英梨、心配しないで」と逆に返って来てしまった。

「わしらはな、騙されたのだ。このマックスと言うマンションの建築会社にな」
「それで恨みをぶつけてる訳なの?」
「黙れ!事情も知らない癖に偉そうな事を言うな!」
「じゃあ、その時事を話してご覧なさいよ。この私にも判る様に」
そう鈴和が言うと霊達は更に3人増えて6人になった。
その中のひとりが徐ろに
「それでは話してみようかの」
そう言って話し始めた……
「わしらは、元はここに住んでいた者達じゃ。震災後は周りの家は皆新築をしてしまったが、
ここの6軒は地盤が硬かった性で家も修繕だけで済んだのじゃ。当然昨今ではここだけが古く感じる様になるが、わしら年寄りには家を建て替える事も出来ん。
そんな時じゃ、マックスが「等価交換」で契約すれば新しく建てた新築のマンションの最低一区画、土地が広ければ2区画と交換出来ると言って来た。
わしらは、将来がある訳じゃ無い。老後は便利なマンションもよかろうと言う意見になった。
2区画貰えれば、そこを貸して生活費に充てる事が出来る。そう考えたのじゃ」
話し始めた霊は鈴和の方を見ながらも何処か遠くを見ている。

「わしらは喜んで契約書にサインをして判も押した。だがイザ工事が始まると、
リーマンショックだかバブルだか知らんが、土地の価格が暴落して、おまけに建築の費用が資材の高騰もあり、このままでは一区画与えられ無いと抜かしてきおった。
わしらは、契約の時に一区画は完全に貰えると約束した。と言ったのだが、マックスは
「そんな事は言っていない」と言う。わしらは怒ったが、向こうは契約書を見せよった。
そこには「土地の価格の変化については、これはその時の時価を持って相殺とする」
そう書かれていてな、しかも家の取り壊しの費用は家の持ち主がそれを負担する。とまで書いておったのじゃ」
そこまで言って霊は本当に悔しそうな顔をする。
鈴和は段々気の毒になって来て
「それからどうなったの?」
「足らない金額を出してくれたら、何の問題も無く入居させると抜かしおった。要するに我々は騙されて家と土地を取られたんじゃ」

「悔しくても、抗議しても「契約書の通りですから」と取り合わん。
絶望したわしらは腹いせに、このマンションの建設現場で集団自殺をしたんじゃよ。
永久にこの地にマンションを立てさせない様にな……」
そう言って霊は鈴和達に
「だから、お前さんがたには関係の無い事じゃから帰れと言ったのじゃ」
そこまで訊いていた英梨は見えない霊に向かって
「それだからって、ここの工事現場の業者の人を傷付けていいの?良く無いでしょう!」
そう言い放つと鈴和も「そうよ、それなら何で弁護士に相談しなかったのよ」
そう言うと霊は更に怒り
「黙れ! そんなのとっくに相談したわ。契約書に実印を押してあるから、どうにもならないと言い返されたわ」
霊達は6個に別れていたが怒りが増々増えて来て一つになろうとしていた。
「こうして一緒になればお前なんてなんとも無いわ」
纏まった霊は黒い気の塊となって二人に襲い掛かる。
その黒い塊が二人を飲みこもうとした時、鈴和の気の剣が黒い塊を切り裂く。
声をあげる間も無く地面に叩き付けられる。
「だから言ったでしょう。相手にならないって。で、あんあたらはどうして欲しいの?」
鈴和は霊に対して、まるで要求を訊く様な感じで問い詰めた。
「うう、あんた小娘のくせに強力だな……どうしてもマンションが立つならば、世間にこの事を公表して二度と不幸な者が出ない様にして欲しい。それからこのマンションの敷地内にわしらの慰霊碑を立てて欲しい。この2点じゃ」

鈴和は暫く考えていたが、
「それは、そのマックスと言う会社に掛かって来てるわね。マスコミには情報を流せるけど証拠が必要ね。なんか無いの?」
そう言うと霊達は急に弱気になり
「証拠と言ってももう契約書はもう無いし……」
それを訊いた鈴和は肩の力を抜いて
「どうやらあんた方の言ってる事に嘘はなさそうね」
鈴和は霊達が説明をしている間霊一人一人を霊視してその心が真実かどうかをスキャンしていたのだ。
「兎に角、今日は帰るけど。悪さはしない事。いいわね!」
そうキツく言うと6人の霊は大人しく従ったのだ。

「さあ、そこの霊達出ておいで」
そう鈴和が言うと物陰から何人かの霊が出て来た。
鈴和が霊視した処、どうやら、他所の現場でこのマックスの悪行で亡くなった人達だった。
ここの他にも各所で同じ様な事をやっていたのだ。
その者達の声も聞いた鈴和は
「私はそのマックスに頼まれて来た訳じゃ無く、ここの周りの住人が気味悪がってたり、下請けの工事関係者が大勢怪我したりしてる、と言うから来たので。あんた方が悪戯や工事の人の足を引っ張る様な事を辞めてくれたら、悪い様にはしないわ」
その鈴和の提案にそこに居たかなりの霊は賛成したのだ。
「必ずいい情報を持って来るから、大人しくしてるのよ」
そう言って二人は工事現場を後にした。

「さて、本来の仕事はここまでだけど、マックスにお仕置きしなくちゃね」
ホテルにほど近いファミレスで鈴和はパフェ、英梨はピラフを食べながら相談していた。
「さっき、母に事の次第を報告しておいたの。そしたら驚く事があったのよ」
「驚く事って……なんですか?」
英梨の質問に鈴和は
「私の学校の1年先輩に神城さんて言う能力者が居るんだけど……」
「知ってます!神城さん!何回か会った事があります。素敵な方ですよね」
どうやら英梨は神城の事を知っていた様だった。
「知ってるなら話が早いわ。彼が明日来るのよ」
それを聞いて英梨の目が輝き出す。
「本当ですか!神城さんが来るのですか!」
うっとりとしている英梨に鈴和は
「あのね、遊びに来るんじゃ無いのよ。私達の仕事を手伝って貰うの」
「え~何をですか? そう言えば神城さんの能力って知りませんでした」
「私も良くは知らなかったのだけど。今回母に聞いて、驚いちゃった!」
「何だったのですか?」
「それはね。絶対秘密だからね、判った?」
「はい!秘密ですね」
「そう……彼の能力は「錯覚」だって」
「『錯覚』って……なに?」
鈴和はその時の英梨の間抜けな顔を忘れないだろうと思う程、呆気にとられていた。

「錯覚は錯覚よ。相手に違うことを思い込ませる能力」
「相手に違うことを思い込ませる能力……つて事はつまり……」
「そう「必殺!騙しのテクニック」よ。明日から忙しくなるわよ。私達、大企業の秘書になるかも……」
「大企業の秘書……ですか。服なんかどうしましょうね?」
「だから、それも錯覚させるの!」
いまいち理解できない英梨をよそに、鈴和は
「何人もの人の土地を騙して死に追いやった悪徳業者め、お仕置きしてやるんだから!」
鈴和はワクワクしながら明日以降の事に思いを馳せるのだった。

「超能力高校生はパフェがお好き」 第11話

第11話 「怪しい現場」

 ホテルを出て現場に向かって行く途中で、英梨はさっきから疑問に思っている事をアルファに訊いてみた。
「あのう、アルファって言うのは、正式な名なのですか?」
それを聞いたアルファは嬉しそうに
「はい、関西支部ではコードネーム制になっていて、各人はコードネームで呼ばれています」
「コードネーム!」
鈴和と英梨は思わず大声を出して仕舞った。
「名古屋支部なんて、そんなの無いから皆名前で呼んでるんですよ!」
「東京も同じ、まあ愛称でも呼ぶから決まって無いんだけどね。それは父も認めたの?」
その鈴和の疑問にアルファは当然という顔をして
「はい、むしろ感心してくれて、各地の支部にも取り入れる様に提言するそうです」
知らなかった……まあ大した事では無いかも知れないが、それにしても父は何処で何時そんなやりとりをしているのだろうと思った。
その鈴和の思いを感じたのかアルファは
「ボスは一度に100人以上の能力者とコンタクト取れますから」
100人以上……自分には到底出来ないと思うのだった。

市立高校を過ぎて、現場近くに来たのだがGPS情報だと近くなのだが、目の前にはマンションの工事現場があるばかりで、スマホ上の地図とは大分違う。
「ここなの?」
鈴和はアルファに問うと、彼女は
「そうなんです。ここはつい最近幾つかあった住宅が壊されて、マンションが建設される事になって、工事が始まったのですが、そこで色々な事が起きてしまったのです。
地図と現場が違うので、今日は私が出て来ました」
そうだったのかと鈴和は思ってその工事現場を霊視した。
確かに良くない気が渦巻いている。
「判りました。後は情報と同じですね?」
鈴和の問にアルファは「同じです追加も上書きする事もありません」
「ありがとうございます。終わりましたらまた連絡させて戴きます」
鈴和がそう言うとアルファはにこやかな笑顔をして帰って行った。
それを見ながら英梨は
「もしかして、テレポートすれば早かったと気がついたんですけど」
そう言って笑い出した。
鈴和もそれはそうだったと思い、笑い出してしまった。

「夜にならないと勝負にはならないわね。部屋に一旦帰って、パフェでも食べて待ちましょう」
そう鈴和は英梨に言うと英梨も「それがいいですね」と言って二人は周りを見て誰もいないのを確認するとテレポートで部屋に帰った。

「やっぱり関西って食べ物美味しいのかな? このパフェも美味しいよね!」
鈴和は久しぶりのパフェを楽しんでる。
ホテルの近くの喫茶店に二人は入ってるのだ。
英梨は「東京ってそんなに不味いんですか?」
そう訊いてしまった。無理も無い、彼女は東京へは小学校の社会見学で2泊3日で行った事があるだけなのだ。中学の修学旅行は関西と中国(広島)だったからだ。
「いや、そりゃ美味しい所も沢山あるけど、なんかほら、水が変わると味覚も変わるって言うじゃない……ね」
英梨はそんな格言あったか?と暫く考えていたが、先程の現場の周りの感じが統一感が無いのを鈴和に確認してみた。
「あの、話し違うんですが、先程の現場ですが、なんかそぐわないと言うか何と言うか……」
英梨の言葉に鈴和も
「そう!気がついた? あのへんって家が皆新しくて、きっと震災後建て替えられたと思うのよね。それなのに新しい家を壊してマンションを立てるなんて変だと思っていたんだ」
「何かありますね。きっと」
そう言う英梨に鈴和は
「暗くなったらあのへんの霊を呼び出して訊いてみるわ。それよりもう一個食べようかな?」
「ええ!夕食は? お腹空きますよ!」
「じゃあ、ほらここでお腹に貯まるもの食べなよ。色々あるよ」
英梨はこんな喫茶のメニューではなく、関西に来たら色々と食べたいものがあったのだ。
たこ焼き、明石焼き、お好み焼、串かつ、未だまだ色々と食べたかったのだ。
それを鈴和に言うと
「そうなんだ! ああほらここにもたこ焼き、あるよ!」
いや、そうじゃ無くて、と喉ま出掛けたが我慢して「こうなったら私が事件を解決
して好きなものを食べる!」そう思い直したのだ。

午後も9時になった、日の暮れるのが東京より遅い関西でもこの時間になれば、あたりは真っ暗になる。
新しい住宅街の街灯が点々と灯っているが、そのマンションの工事現場だけは明かりが無く闇に沈んでいる様だった。
鈴和は英梨を後ろに立たせて「後ろから攻撃されたら宜しくね」
そう言って、霊視を初めた。
「いるいる、かなりの数だね。こっちはどうだ」
そう言って現場の反対側を見る
「ほう、こっちにも居る、でもさっきの連中とは違うねえ……」
英梨は鈴和が霊視を始めてから、どんどん気が強くなって来ているのに驚いた。
「すごい!気の能力が変化するんだ!」
そう思いながら、後ろに気を配っている。

「英梨、判ったわ、行きましょう」
そう言って、鈴和は英梨の腕を取ると、「いい?中にテレポートするからね。私に合わせてね」
そう言うと「1,2,3それ!」と合図をし、二人はスーツと消えて行った。
中に入ると二人は背中わせに立つ。
真っ暗になった空間には恐ろしい気が充満していた。
「英梨、中を透視してちょうだい。通路みたいなのがあると思うの」
そう言う鈴和に従い英梨は周りを透視してみて驚いた。
「鈴和さん!ここダンジョンになっています!」
「ダンジョン? あんたRPG好きなんだ?」
「いやそうじゃ無くてですね」
「ここ地下じゃ無いからダンジョンじゃ無いよね。それにしてもこの前のFFはガッカリしたわよね。もう買わないんだ」
「いや鈴和さん、そこはボケたりする処じゃ無いです」
「判ってるって、あんたが余り驚くから、からかったのよ。で、その迷路は出られるのね?」
「多分……あたしRPG最後まで解説本読まずにクリアした事無いんですよ……」
なんだって!と鈴和は思った。それじゃ役立たずじゃないかと……
「じゃあ、私が霊視しながら進む事にするわ。でもマンションが迷路なんて完全におかしいわね」
そう言って真っ暗な中を二人は手を繋いて歩いて行く。
少し行った所で鈴和は歩くのを辞めた。そして
「そこに隠れている霊よ出て来なさい。あんた達ぐらいじゃ私に歯が立たないから」
そう鈴和が言い放つと、闇の中から3つの影が浮かび上がった。
もちろん普通の人には真っ暗なままだが……
そして、その霊は
「お嬢ちゃん、悪いけどこのままにして帰ってくれないかな。そうすれば俺達も悪さはしないから」
3つの霊魂の意志はそう鈴和に語り掛けたのだ。
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