生き方を考えねばならぬほど若くはない。人に請われるほどの才能もない。ましてや、先頭に立つほど人望がある訳でもない。時流に流され生きて来た。

 人の悪口は腹にしまい、口には出さず、偽りの笑顔を見せる。只、人に悪く思われ無ければそれで良いと常に大勢の方に立って生きて来た。

 常に目立たず。その他大勢で良いと思い、積極的に手を挙げるなんて事も考えず。そのくせ自分の評判は誰よりも気にして、悪い噂を耳にすれば、くよくよ悩み、人に相談することも出来ずに胃の薬を飲んで誤魔化す。良い噂を聞けば、表面的にだけ謙遜し、家族には自慢し悦に入る。

 優しいと言われれば、その通りに行動し、例えそれが本心からでは無くともその様に振る舞い。自分があたかも、いい人であるかの様に見せることを考える。
 
頼まれれば、一応は嫌とは言わず。返事を先延ばしにして、都合の良い理由を考えてから断る。さも残念そうに振る舞う事は忘れない。

 只考えるのは人間関係が悪くならないようにする事だけ。だって、それは自分が生き難くなるから。それだけを考える。
 
 常に全力で行動するなんて事は考えず。八分目を目標にする。それが上手く行くコツだよと嘘ぶいて、何事にも結果オーライで良いと考える。

 適当と言う言葉が好きで、いつもそれで通れば良いと思っている。だって適当とは一番適している事だと本心では思ってもいない事を口にする。

 そんな自分が本当はとても嫌いで、一人になると自己嫌悪になり、死ぬことばかり考える。でも死にはしない。それは結局自分が好きだから。

 どうか、どうか、今日も嫌な事は頭を下げている間に、上を通り抜けますように……。

 そう、わたしは中身の無い「空」な人。