二次創作

いまさら翼といわれても ~その後~

「いまさら翼といわれても」後編ですが、凄い所で終っていますね。実に米澤先生らしいですね。私の「海外留学」といのは完全に外れてしまいました。考えす ぎでした。もっとシンプルでした。でも話の持って行き方が圧巻でした。素晴らしかったですね。色々と創作の参考にしたかったのですがレベルが違い過ぎて参 考になりませんねw
それで、このままではいくらなんでも後味が悪すぎるので、その後を自分なりに考えてみました。よくある平凡なパターンです。こちらは原作とは違い甘めにしてあります。
毎回、沢山の評価ありがとうございます!
ネタバレ満載ですので未読の方はご注意を!!


「いまさら翼といわれても」後編 
あらすじ

奉太郎は控室に居た段林さんを部屋から出す為に「具合が悪くなって休んでいる千反田さんの場所が判ったから迎えに行く」と嘘を言って部屋から出て言って貰います。
そして横手さんと二人だけになったので、横手さんの嘘を追求します。「千反田はここには来ていませんね!」
否定した横手さんですが奉太郎の推理に負けて真実を話します。
自分が千反田さんの伯母であること。彼女は「南陣出のバス停」で降りた事。そして多分自分の家の蔵に居るのではないかと言う事を話します。「早く行きなさい」そう言われ奉太郎は運良く市民ホールに停まっていた陣出行きのバスに乗り込むのでした。
 「南陣出」で降りた奉太郎は横手さんが言った通りに蔵があるので、そこに向かいます。蔵の中からは発声練習をする声が聞こえたのでした。奉太郎は静かに中の千反田さんに語りかけます。「無理なら行かなくてもいい」そう言って千反田さんを落ち着かせます。
そして独唱をする箇所を段林さんから教えて貰っていた奉太郎は千反田さんの心情を代わりに言うのです。「後を継ぐという育てられ方をされて来て、いきなり自由にしても良いと言われて自分の立場失う事になった今だけは自由を謳うこの歌は歌う事が出来なかった」と……
 千反田さんはやっとの思いでそれを肯定して自分の考えを述べるのでした。それを聞いて奉太郎は何かを殴りつけて血を出したくなる衝動に駆られます。間に合う最後のバスが出るまであと四分……蔵の中から声は聞こえませんでした。続きを読む

にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ(葉山君シリーズ)二次創作  定期公演に潜む闇 2

 どうやら他の衣装にイタズラはされてはいない様だった。
「じゃあヒロインの娘を妬んでイタズラしたのですかね」
 翠ちゃんが早速推理を開始する。
「でも実際は衣装係の娘が被害を受けたのだから、そう一概には言えない気がするけどな」
 僕は先ほどから考えていた事を口にした。すると柳瀬さんが
「そうよね。衣装にイタズラされて実際に被害を受けるのは衣装係だものね」
 そう言いながらイタズラされたヒロインの衣装を手に取った。それを見て柳瀬さんの表情が若干変わったのを僕は見逃さなかった。僕はミノに合図をして、物陰に来て貰った。
「どうした葉山、何か気がついたのか?」
 ミノは部長として責任を感じている筈なのだろうが明るく振る舞っている。
「衣装って一着しか無いのかい? 予備とかあるとか……」
「うん、確かにあるけど、それは今日は持って来て無いよ」
「どうして?」
「だって、あくまで予備だから、何かあった場合明日持って来る事になっているんだ」
「と、言う事は予備は学校にあるのかい?」
「ああ、部室に保管してあるよ」
 僕はそれを聞いて、ある種の危機感を感じた。恐らく柳瀬さんもそれを感じたのだろう。表情が変わったのはその為だと思った。
「ゆーくん、学校に戻って確かめないと」
 やはり僕の考えと柳瀬さんの考えは同じだと思った。
「タッくん。悪いけど車のキー貸してくれる? 市立に戻りたいのよ。確かめたい事があるから、それが終わったら直ぐに帰って来るから」
 柳瀬さんは市立からこの市民ホールに来る時に乗って来た車の持ち主からキーを借り受けると
「行くわよ!」
 僕の腕を掴んで走りだした。
「柳瀬さん免許持っていたのですか?」
「先週取ったの! だから大丈夫よ!」
 何が大丈夫なのだろう……まさか、免許取って最初の運転?
「大丈夫よ。わたし運転上手いから」
 柳瀬さんは僕の不安を見越していたのだった。
 地下の駐車場に降りて車に乗り込むと柳瀬さんはエンジンを掛けてゆっくりと走り出した。確かに思ったより運転が上手だった。
「実はね、教習所に通ってる間にもパパに乗って貰って深夜に練習していたのよ。だから随分運転はしてるのよ。これ秘密だからね。ゆーくんだから言ったのよ」
 そんな秘密を打ち明けられても僕には一向に関係ないと思うのだが、どうやら柳瀬さんは僕と運命を一緒にしたいと思っているようだ。
「もし事故っても二人一緒だから構わないわよね。新聞なんかにも『高校生と大学生コンビ』とか書かれるでしょう」
 そんな事を言って僕を横目で見ていた。柳瀬さん、それは良いですけど前を向いて下さい!
 車は表に出ると捕まらないギリギリの速度で車を走らせて市立に乗り付けた。降りると急いで演劇部の部室に向かう。
 もどかしく鍵を開けると衣装をしまっている棚に向かう。僕には何が何処にしまってあるのか一向に判らないが柳瀬さんは迷わずにやや大きめの衣装ケースを指差して
「ゆーくん、それを卸して欲しいの」
 言われた衣装ケースを卸すと柳瀬さんが蓋を開けた。そして中の衣装を調べると、それは無残にもビリビリに引き裂かれていた。
「犯人の目的はこっちだったのですね」
「酷い! これなら補修が出来ないわ。替えが無い状況を作り出してから、さっきの犯行を行ったのね。明日気がついたなら間に合わない所だった」
 柳瀬さんの顔色が変わって来た。そして僕に
「演劇部のOBとして許せない! ゆーくんわたしに協力してね! 一緒に犯人を捕まえましょう」
 そう言って僕の手を掴んで潤んだ瞳で僕を見つめて来た。そんなに見つめられたら僕は……僕は柳瀬さんの背中に両腕を回すとしっかりと抱きしめた。
「嬉しいわ……やっぱりゆーくんはわたしなのね……こんな場面があるなら誰かスマホで写真を撮ってくれないかしらね。それをあの娘に見せつけてあげたのにね」
 気が付くと目の前の柳瀬さんは僅かに笑って嬉しそうな表情をしていた。先ほどの潤んだ瞳は演技だったのかしら?
 そう思っていたらいきなり口を塞がれて濃厚で柔らかいものが僕の口の中に入って来てかき回して抜けて行った。
「今のは手付みたいなもの。事件が解決したら、わたしの全てをゆーくんに捧げるからね」
 柳瀬さんはそう言って僕の事を抱き締めてくれた。これって他の人が見たら完全にラブシーンではないだろうか?
「今回は出来れば伊神さんは呼びたくないわね。わたし達二人で解決しましょうね」
 柳瀬さんはそう言って僕の腕を掴んで停めてあった車に乗り込んだ。市民ホールに帰る道すがら
「でも、犯人の目的がイマイチ判りませんね」
 僕が柳瀬さんに疑問を言うと
「どう言う事? 目的は公演の妨害でしょう?」
 そう言って反論して来た。そこで僕は運転をしている柳瀬さんに分かり易く説明をした。
「だって演劇部に詳しい者なら今回の公演に、僕や柳瀬さんが手伝いに来ると言う事は判っていたはずです。それなのにこれまでの犯行は直ぐにバレるものばかりです。本来の妨害の工作の本命は別にある気がするんですよ」
「確かにわたし達なら直ぐに気がつく事ばかりね……じゃあこれから何か起きるのかしら?」
 それも否定出来ないし、もう仕込まれてしるのかも知れない。
「柳瀬さん……犯人の目的が僕と柳瀬さんを市民ホールから遠ざけるのが目的だったら?」
 僕の言葉を聴いた柳瀬さんの顔色が再び変わり
「ゆーくん、少し飛ばすからしっかり掴まっていてね」
 そう言ってアクセルを強く踏み出して車の速度を上げたのだった。

にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ(葉山君シリーズ)二次創作  定期公演に潜む闇 1

え~新しいエピソードです。ミステリー書けない者が学園ミステリーの二次創作を書いてるのもおかしいのですが、グデグデにならないように進めたいと思います。多分、少し長めです。

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 ゴールデンウィークも終わり、市立は日常の装いを取り戻していた。僕は美術室で一人秋の文化祭に出す作品の下描きを始めようとしていた。この時期から始 めるのは早過ぎる気もするのだが、伊神さん曰く「事件を引き付ける体質」だそうなのでこの先、夏になるに従って何かあっても困るので早めに始める事にした のだ。百目鬼先生も
「まあ、葉山は部長なんだから好きにすれば良い」
 とお墨付きを貰っている。それに今週の末の土曜日は演劇部の定期公演があり、裏方として手伝いを頼まれているのだ。
 そんな事を考えていたら天童翠ちゃんが息を弾ませて美術室に飛び込んで来た。ちなみに彼女は苗字は違うが伊神さんの異母兄弟で、二人は仲が非常に良い。
「遅れてすみませんでした。掃除当番でしたので」
 赤い顔をして翠ちゃんは遅れた詫びを言った。
「いや、構わないよ。僕が早いだけだからね」
「何を描いてるのですか?」
 翠ちゃんから言えば、まさか秋の準備とは思わないのだろう。僕は先程の事を最初から説明する。すると翠ちゃん残念そうな顔をした。
「ええ! 十四日は都合が悪いのですか?」
 何の事だろう? 確か演劇部の手伝いの事は予め伝えてあったと思ったが……それに翠ちゃんは手伝いには入っていないから、その日は自由なはずだった。
「あ、手伝いは僕だけだから構わないんだよ」
「違うんです! 十四、十五と兄の大学で『五月祭』があるので、十四日なら兄の都合も良いので案内をしてくれると言うので先輩と一緒に行けたらと思っていたのです」
 そうか、『五月祭』と被るのか、今まで身近でそんな事が話題にもならなかったし、昨年は事件の解決で伊神さん自身もそれどころでは無かったので、五月祭が話題になるのは今回が初めてと言う事になると思ったのだ。
 十五日なら大丈夫だよ……と言いかけて、その日は柳瀬さんから用事を頼まれていた事を思い出した。
「残念だね……来年は都合つけるよ」
 そう言ってシマッタと思った。
「来年は先輩がいません!」
 頬を膨らませて怒った表情も中々可愛いが、先約があるのは仕方がない。
「兄弟水入らずで愉しめば良いと思うよ」
 それが気に入らなかったのか翠ちゃんは
「じゃあ、兄に案内して貰うのを十五日にして、十四日は私も美術部員として演劇部のお手伝いをします。来年の為にも今年参加していないと困りますから……それに……」
「それに?」
「いいです! その先は私事ですから」
 恐らく、柳瀬さんの事だったのでは無いかと思った。僕も柳瀬さんが来ない訳は無いと思っていたからだ。
「じゃあ、一緒に手伝おう。来年はきっと埋め合わせするから」
 僕のあてにならない言い訳を耳にした翠ちゃんはやっと笑顔を浮かべたのだった。

 金曜の放課後になると演劇部のOB達がバンを三台持って市立までやって来てくれた。この車に大道具や小道具、それに衣装やかつらを乗せて運んで行くのだ。
 演劇部の連中と一緒になって大道具を運び込む。舞台にセットして補修すべき箇所があれば補修するのが僕たち美術部の仕事なのだ。
 車に全てを乗せ終わると先輩OBが運転して市民ホールに向かった。残された在校生は自転車で後を追う。ちなみに翠ちゃんは車の助手席に乗せて貰った。まあ、あれだけの美少女だから声は掛かるだろうと思った。
 市民ホールに着いてみると、三台のうち一台が未だやって来ていなかった。衣装やかつらを乗せた車だった。市立を一番早く出た車だったはずだ。翠ちゃんも車から降りてスマホで時間を確認して
「遅いですね。私達の乗った車より早く着いていなければならないですよね」
 そう言って心配をしている。ミノも時計を確認して
「遅いな……まさか……」
 どうやらミノには何か思っている事があるみたいだった。その目つきで僕にも大凡判って来た。でも翠ちゃんは判らないようだ。
「ミノ先輩。何処に行ったのかアテがあるのですか?」
 ミノは言葉に困っている。そこで僕が
「もう少し待っていれば判ると思うよ」
 そう言って助け舟をだす。ミノはニヤッと笑い
「葉山にも判ったか、まあそうだよな」
 そんな事を言っていると、案の定車が到着した。その助手席から降りて来たのは、前演劇部長、柳瀬沙織さんだった。今日はライトグリーンのサマーセーターにアイボリーのカーデガンにミニスカートと言う出立ちだった。
「部長あいかわらずスタイルがいいなぁ~」
 待っていた他の三年生の部員からため息のような言葉が漏れる。その意見には賛同するが、一箇所間違っている。部長ではなく前部長だと言う事だ。
「電話したら丁度こっちに来る途中と言うから大学に寄って貰ったのよ」
 よく考えると衣装やかつらを乗せた車を運転していたのは柳瀬さんと同級の先輩で在校中は一切頭が上がらない人だったと思い出した。
「じゃあ、さっさと運び込もう」
 ミノが部員に言って資材の運搬が始まった。僕も大道具を一緒になって運び込んだ。各自の責任者が荷物の確認をする。ミノがホールの人と打ち合わせをするので中に入って行き、大道具は勿論、小道具、かつら、そして最後に衣装のチェックをしていた時だった。衣装係の女子が
「痛ッ!」
 と声を上げた。
「どうしたの?」
 柳瀬さん始め皆が注目をすると、指先から鮮血が滴り落ちている。
「衣装に仕付け針があったみたいです」
 別な生徒がその持っていた衣装を調べてみると衣装の裾の部分に針があったのだ。先ほどの生徒はそれに気が付かず挿してしまったようだった。
「おかしい! 昨日最後の稽古が終って衣装箱にその衣装を入れた時には針なんて無かった」
 別な部員が言う。今の演劇部の部員は柳瀬さんに憧れて入部した者が殆どで、女子が多い、部員数も多いのだが、何故か僕たち美術部の部員も何かあると借り出されるのだ。
「それは確かなのね?」
 柳瀬さんがその部員に確かめると、僕に近寄って来て
「ゆーくん、早速の出番よ。事件の現場に葉山くんありってね」
 そんな事を言いながら僕の事を横目で見ているのだ。こんな場所で困るのだが……
「事件って……仕付け針を取り忘れただけでしょう? 事件も何も……」
 僕がそこまで言った時だった。
「ああ、酷い! 衣装の縫い目が解かれている」
 仕付け針など無いと言った部員が衣装を広げて驚いていた。
「どうしたの今度は」
 柳瀬さんがその部員の所に行く。僕と翠ちゃんも後ろから眺めると先ほどの針が混入していた衣装が縫い目が解かれていて、その分が大きく穴が開いていた。
「この衣装はヒロインのよね?」
 柳瀬さんが尋ねると部員は
「そうです! ヒロインの着る衣装です。今から直ぐに縫い直します」
「そうね。それと平行して他の子も手伝って他の衣装にもイタズラがしてあるか調べてちょうだい!」
 さすが柳瀬さんだ。テキパキと指示を出す。そこにホールの人と打ち合わせが終ったミノが帰って来た。
「どうした? 何かあったのか」
 そこで僕は針の一件を説明した。柳瀬さんが僕たちの所にやって来て
「これはやはり事件じゃないかしら? 誰かが、わざとやったのよ。嫌がらせかも知れないわね」
 そう言って僕の耳元で
「あの娘が居るのがちょっと邪魔だけど。これは二人で解決してみたくなって来ない?」
 そう言って耳に息を吹きかけてニヤッと笑った。その表情と息を吹きかけられたので僕はゾクッとなってしまった。
 どうやら僕は柳瀬さんの術中に落ちてしまったみたいだった。

続く

にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ(葉山君シリーズ)二次創作  動機は思いやり?

 清掃委員会の男子のメンバーに連れられてて市立に戻ってみると、翠ちゃんと背の高い若い男の人が居た。グレーのジャケットを羽織った伊神さんだった。
「どうしてここに居るのですか? 僕、未だ連絡していませんけど……」
 ぽかんとした僕の頭を人差し指で軽く突付きながら
「違うよ。明日の創立五十周年記念式典の打ち合わせに僕も出るから、今日のうちに戻って来たんだよ。そうしたら翠が大変だと言うからやって来たのさ」
「明日の打ち合わせに伊神さんが出るのですか?」
 僕の隣に立って腕を掴んでいた柳瀬さんは、本当に驚いたみたいだ。
「ああ、記念式典ではOBを代表してスピーチをすることになっているからね」
「OBを代表してスピーチですか!」
 僕は心の底から驚いてしまった。だって、卒業して二年、伊神さんだって二十歳の青年だ。OBなら他にも有名な人が大勢居る。それなのに選ばれたと言う事は……
「まあ、市立始まって以来の秀才と呼ばれた成績なら仕方ないんじゃない」
 柳瀬さんはそう言って僕の腕をぎゅうっと握った。それを見て翠ちゃんが
「見て下さい。いつもああなんです。ああやって仲の良い所を見せつけるんですよ」
 そう、伊神さんに言いつける。
「はは、翠それは仕方ないだろう。あの二人はもう二年以上もああやってるんだから」
 ちょっと、それはよして下さいよ。誤解を生む言い方じゃないですか。僕がそう言いかけると柳瀬さんが
「だから、翠ちゃんは誰か別な男の子を探した方が良いわよ」
 そう言って僕を後ろから抱きしめる。柳瀬さん胸が背中に当たりますよ……
「ああ、もう、離れて下さい!」
 翠ちゃんの怒りが最高潮に達した時に伊神さんが
「とりあえず、西口に行ってみようよ。校内の見取り図が本当に無くなったのか見てみようじゃないか」
 どうやら伊神さんは翠ちゃんから経緯を聞いたみたいだ。恐らく伊神さんのあの頭の中では既に解決に向けて動き出してるのかも知れない。
 伊神さんの言葉でさすがの翠ちゃんも冷静な何時もの感じに戻ったみたいだ。柳瀬さんを見ると僕に向かって軽く舌を出した。その仕草を見てちょっと心を奪われる自分を意識してしまった。

 西口に来て見ると昇降口の所に掲げられていた校内の見取り図が無くなっていた。確か校舎を上から見た見取り図を各階ごとに書いた平面図だったはずだ。改めて見たことなぞ無いのでうろ覚えなのだが……
「ふ~む。綺麗さっぱり無くなってるな……そうか、そう言う事か」
「え、伊神さん。もう何か判ったのですか?」
「まあ、大凡だがね」
 僕は信じられなかった。今さっきここに到着して、翠ちゃんから状況を訊いただけで、この事件の真相を見抜いてしまうなんて……やはり記念式典でOBを代表してスピーチするだけの人なのか? と思ってしまった。
「じゃあ、すぐに取り戻しに行きましょう!」
 翠ちゃんが伊神さんに言うと
「焦らなくても明日の夕方には戻ってると思うよ」
 伊神さんの言葉に僕と柳瀬さん、それに翠ちゃんが驚き、翠ちゃんが
「それって犯人の言葉と同じじゃ無いですか!」
 そう言って実の兄に迫った。柳瀬さんは
「実は、犯人は伊神さんじゃないの」
 そんな事を言ってニヤついている。僕は柳瀬さんに
「冗談ですよね。まさか本気?」
 ドキドキぢながら耳打ちで囁くと
「冗談かも知れないけど、もしかしたら……」
 そんな事を言って僕を惑わせた。まさか、柳瀬さんも判ったのだろうか?
「兎に角、今日はこれ以上事件は進展しないから、家に帰った方が良い。本番は明日だからね」
 伊神さんの言葉を僕は全く理解出来なかったが、これまで事件関係で伊神さんの予想が外れた事は無い。従うより仕方無かった。帰り際に翠ちゃんが
「でも学校側はこの事知ってるのでしょうか?」
 その言葉に伊神さんは
「さあ、それが問題だよね」
 そう言ってニヤリと笑ったのだった。

 それぞれの家の位置関係を述べておくと、市立に一番近い場所に住んでいるのが柳瀬さんで学校の裏と言った感じで正門まで五分とかからない。
 次が伊神さんと翠ちゃんが住んでいる伊神邸で大体歩いて十分程だ、僕が一番遠くて十五分ほど掛かる。だから僕が最後は一人になってしまうのだが、伊神さん翠ちゃんと別れて歩き出すと後ろから肩を叩かれた。振り向くと柳瀬さんだった。
「どうしたのですか?」
「うん、明日は講義があるから早くは来られないから、少しゆーくんと話がしたくてね」
 先ほどのまでの感じとは若干違うので僕が戸惑ってしまった。春の暖かな風が流れるように柳瀬さんの髪をひらひらとさせている。若干憂を帯びた眼差しが僕にとってはドキドキもので、思わず抱きしめてしまいたい衝動に駆られてしまった。
「話って何ですか?」
「うん、あのね。大学に行くようになって、新しい友だちも出来て、講義は面白いし、充実してるんだけど、心の中に隙間があるのね。何なのだろうと考えたら、大学にはゆーくんが居ないと言う事だと気がついたの」
 柳瀬さんは僕より半歩遅れて歩いている。何時もは僕をぐいぐい引っ張っていく感じだったのに……
「思ったの。何で一年早く生まれちゃったのかな、って……去年までがどんなに楽しかったかって……」
 柳瀬さんから今までこんな事を言われた事は無かった。僕だって、ここに柳瀬さんが居たらと何度思ったかその数は知れない。
「だからね。演劇サークルに入る事にしたの。ゆーくんが居ない心の空白をそれで塞ぐ事にしたんだ」
 は? 話が違う方向に行ってしまった感じだが……
「演劇サークルですか?」
「そう、楽しそうだから」
「それが僕と関係あるんですか?」
「だから、入ったのはゆーくんのせいよ」
 何処で繋がっているのか僕には全く判らなかった。
「明日は夕方なら来られるから、それまで伊神さんに真相を話させては駄目よ。いい?」
「判りました」
 つい思わず返事をしてしまった。
「じゃ、ダーリンまた明日ね」
 柳瀬さんは僕の頬にキスをし、甘い匂いを残して走って去って行った。僕は突然の事に体も気持ちも固まってしまった。心臓が破裂するほど高鳴っている。今夜眠られるだろうか……

 翌日、正午過ぎに教育委員会のお偉方や来賓の方が見えられ、会議室で記念式典に向けた会議が開かれた。
 三時過ぎには終わり、全員が帰ったみたいだったが、一人だけ残っていた。そう、それは伊神さんだった。僕を呼ぶ声がしたのでその方を見ると柳瀬さんが小走りにやって来た。反対方向からは翠ちゃんもやって来た。その後ろには清掃委員会の面々も居る。
「さて、揃ったみたいだね。では真相を述べさせて戴こうかな。ミノくん例のモノを」
 伊神さんに呼ばれたミノこと三野小次郎が演劇部の後輩と一緒に校内の見取り図を持って出て来た。
「ミノ、お前が犯人だったのか?」
 僕の強い口調にミノは頭を左右に振りながら
「違う違う! 全く違うよ。俺は今さっき校長に『これを持って元の場所に掲げて欲しい』って言われたので演劇部の後輩と一緒に持って来た所さ。
「校長のカズヲが……じゃあ犯人はカズヲ?」
 困惑した柳瀬さんに伊神さんは
「まあ、とりあえず元の場所に掲げてくれないか。それを見てからだ」
 一体何だと言うのだろうか? 見取り図は元と同じはずだが……
 ミノと演劇部の後輩が協力して昇降口の上に掲げられた見取り図を見て柳瀬さんが
「あ、無くなってる!」
 思わず声を出した。それに釣られて僕も見取り図を見て驚いた。芸術棟が消えているのだ。
「これで犯人の目的が判ったかな?」
 伊神さんは構えているが僕には動機が全く判らない。何故芸術棟を消す必要があったのだろうか?
 伊神さんは皆を前に最初から解説をしていく。
「まず、最初の絵画を持ち去ると言うのは、この犯行を誤魔化す為のフェイクだよ」
「何故、そんな事をする必要があったのですか?」
 疑問を呈する僕達三人に伊神さんが解説をしていく。
 
「市立の五十周年事業で本来は芸術棟は解体され新しく建て替えられる予定だった。しかし、昨年あのような事件が起こり、警察の捜査や等によりすぐには解体 出来なくなってしまった。これを憂慮したのが校長先生だった。校長は「五十周年の記念式典」の打ち合わせに来た市の教育委員会のメンバーに事件の事を話題 にしたく無かったのだ。それは無くなった仙崎さんの事を今更のように蒸し返したくなかったからだ。
 教育委員会のメンバーは芸術棟の建て替えも知っているが、真相を詳しく知る者は居ない。だから校長は話のネタになるような校舎の見取り図を隠しておきたかったのだった。
 幸い、今芸術棟は塀に囲まれ正門から入って来た場合は見る事が出来ない。でも見取り図を見た者が話題にすれば、否応なく校長は対応しなくてはならない。それだけは避けたかったのさ」
 伊神さんの言葉に今度は校長先生が顔を出した。
「先生、今兄が言った事は本当なのですか?」
 翠ちゃんの問いかけに校長は苦しげに僕たちに言った。
「ああ、その通りだよ。長い間市立の生徒や職員を苦しめて来た事件はもう解決したんだ。一時は新聞にさえ載る事件だったが、もう過去の事だ。犯人も犠牲者 も全てが市立の関係者だったなんて悪夢以外の何物でもない。創立五十周年を迎えるに当たり過去の事は話題にして欲しくなかったんだ」
 僕には校長の気持ちが良く理解出来た。あの事件の中心に居た僕にとっては理解出来るものだった。
「騒がせて済まなかった。実際絵画には今回、指一本触れていないし、教育委員会が帰ったので、こうして見取り図を修正して返しにやって来た所だった」
 校長が元の市に見取り図を返して事件は決着したかと思った。清掃委員会の連中も帰り、ミノも演劇部の後輩と一緒に帰って行った。だが伊神さんは僕と柳瀬さんそれに翠ちゃんの三人を職員室に連れて行き菅家先生を誰も来ない会議室に呼び出した。
 人気の無い会議室に菅家先生はやって来た。その姿は何故か僕にはさっぱりとしか感じに思えた。伊神さんは皆を座らせると菅家先生に向かって
「校長は先生を庇ったのですね。本当は二十五年前に当時の臨時教師によって殺された仙崎さんの同級生で交際していた、あなたを庇っていたのですね」
「判っていましたか……本当は、教育委員会のメンバーが芸術棟の建て替えが伸びた事に関して、調査をしてくるのが怖かったの。仙崎くんを噂に晒す事はしてはならないと……あの事件はもう蒸し返してはならないと思ったの。遺族の方もひっそりと暮らしているのに……」
 由井博と言う臨時教師によって当時の教師鹿島玲子先生が殺された。そしてその真実を知った仙崎さんまでもが刃にかかって亡くなった。事件は多田刑事に僕 たちが告発して解決をしたが、犯人の由井は既に亡くなっていたのだ。無念だったかも知れないが一応の解決を見た事で当時の同級生で鹿島先生の事も知ってい る菅家先生はひっそりとしておきたかったのだ。それが遺族に対する礼儀だと思ったからだそうだ。でも大事にならなくて良かっっと僕は思っている。
 そこに百目鬼先生も登場した。
「先生、どうして……」
 僕の質問に百目鬼先生は
「葉山、あの正面玄関の俯瞰図だが、お前本当に判らなかったのか?」
 僕には先生の言ってる意味が判らなかった。あの絵には疑惑のあるような事は無かったはずだ」
「先生、彼は完全に騙されてしまっていますよ」
 伊神さんの言葉に百目鬼先生は
「もう一度あの絵を見て来い」
 言われた僕たちと伊神さんに百目鬼先生は正面玄関にやって来た。そしてあの絵を見て見るとそこには「芸術棟」がちゃんと書かれてあったのだ。
「どうして……」
 呆然とする僕に伊神さんが
「葉山くんはクリーニングと言う事を知ってるはずだがね」
 その言葉で僕は全てを理解した。最初から芸術棟は書かれてあったのだ。今回の事で見られない様に上に木を上書きして芸術棟を消してしまったのだ。あの時、最初に絵を見た時に僕だけは気が付いても良かったのだ。
「葉山、美術部長としては落第だぞ。油絵は後からでも加工出来る」
 そうなのだ。確かにそうなのだ。僕が迂闊だったのだ。
 結局今回の事は学校側があの事件を関係無い者に知られ無いように細工した事件だった。それは、被害者のプライベートを大事にしたいと想う心からだった。今でも先生方からは被害者の方は同士でもあるのだと思った。仲間の事は大事にしたいと……
 公務員としては皆落第かも知れないが、人情としてはありだと僕は思った。そして、その先生方に教わる僕たちは幸せだと想うのだった。

 そして、あの後味の悪い事だったあの事件が、こうしてまた僕達に降りかかって来るとは思わなかった。
「さて、解決したからには、ゆーくんにチョレートパフェ奢って貰いましょう。当然私と翠ちゃんの分もよ」
 事件が解決して帰り道、柳瀬さんが怪しい目つきで僕に近寄る。翠ちゃんも
「今度は部活以外で葉山先輩と二人になりたいです」
 そう言って近寄って来る。その時、親友のミノがやって来た
「葉山、どうした? ちゃんと解決したか? ところで、赤の水彩絵具貸してくれないかな? 小道具の色が剥げちゃってさあ」
 ミノの言葉を聞いて僕は赤の絵の具を掴むと、ミノの手を掴んで走りだした。
「おい、どうしたんだ? そんなに急がくても」
「そっちは、そうでもこっちは事情があるんだ」
 僕を先頭に、ミノ、柳瀬さん、翠ちゃんが後を追って来る。その後ろでは伊神さんが笑って」いる。果たして僕は逃げきれるだろうか?

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にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ(葉山君シリーズ)二次創作  疑惑

「ねえ、この予告状おかしくない?」
 百目鬼先生が書いた絵画に貼りつけられた「予告状」を見ていた柳瀬さんが呟いた。
「おかしいとは何ですか?」
 翠ちゃんが柳瀬さんに並ぶように立つ。舞台女優としてでも引き立つ柳瀬さんに比べ,
翠ちゃんはお兄さんの伊神さんには似ず小柄だ。だが目鼻立ちがとても整っているのは伊神さんと同じで一般的に見ればかなり可愛いと言えるのではないだろうか? 美しい女性二人が並んでいるのを眺めるのも悪くはないと思った。
「だって、返すならこんな予告状要らないでしょう? そう思わない。こっそり持って行ってこっそり返せば良いと思わない?」
 柳瀬さんの言葉に翠ちゃんも
「それはそうですね。では犯人は他に何か目的があったのでしょうか?」
「だから、本当はここに注目を集めておいて他に目的があると思う方が自然だと思わない?」
 確かにそうだと僕も思った。第一この絵に何の秘密めいた所があると言うのだろう? 只の校舎を描いた俯瞰図しか見えなかった。
「あれ、この絵おかしい!」
 三人で絵を見ていた中で柳瀬さんだけが何か気がついたようだった。
「何がおかしいのですか?」
 僕は柳瀬さんが見つめている絵の部分を凝視した……そして僕も気がついた。
「これ、描かれていない……」
 一人翠ちゃんだけが判らず首を傾げている。
「何がおかしいのですか? 私には判りません」
 無理も無いと思った。入学して間もない翠ちゃんには判ろうはずが無いのだ。
「気がつかない? 校舎を描いたものだけど、描かれていない建物があるのよ」
 柳瀬さんが優しく導くとさすがに気がついたようで
「ああ、芸術棟が描かれていないのですね」
 そうなのだ。本来芸術棟がある場所には木が植えられているだけだった。
「どうして描かなかったのでしょうか?」
 芸術棟で起こった悲惨な事件は改めて言う間でもないが、今から二十五年ほど前に市立の女性教師が惨殺された。その事件の真相に迫った仙崎先輩はやはり犯人によって殺され、その遺体は当時改修中だった芸術棟の壁に塗りこまれてしまったのだ。
 それから暫くは秘密は伝説となり「市立三怪」と呼ばれていた。
何故なら、犯人は当時の臨時教師だったからだ。それを偶然とは言え僕が壁から崩れ落ちて来た仙崎先輩の遺体を発見し、事件の真相を解き明かしたのだった。尤も真相にたどり着いたのは伊神さんだが……
「私はもう卒業してしまったから噂としてだけど、市立は創立五十周年を迎えるでしょう、その記念事業として芸術棟を立て直しするという計画があるそうよ。だから取壊す予定に入っているのじゃ無いかしら」
「だから描かなかったと?」
 翠ちゃんは柳瀬さんに喰い付くように尋ねている。
「まあ、判らないけどね。それは描いた百目鬼先生に尋ねれば判ると思うわよ」
 確かにここで論じても判る事ではない。そう思っていたら、先ほどの「清掃委員会」の者が百目鬼先生を連れて来た。
「先生これなんです。こんな予告状が貼りつけられていたのです」
 予告状をしげしげと眺めていた百目鬼先生はニヤリと笑って
「面白いじゃないか、犯人の好きにさせたら良い。どうせすぐに返すと書いてあるじゃないか」
 そう言って問題ないと言う見解を述べた。でも、それって教師として絵の作者として余りにも無責任ではないだろうか?
「先生、責任感がなさ過ぎでしょう」
 清掃委員会の誰かが呆れて言うと百目鬼先生は
「どうせただのイタズラだよ。実際にやりはしないし、何時持っていくとも書いていないだろう」
 そう言って完全なイタズラだと決めつけた。でも、僕はイタズラなら、それこそ黙って持ち去って黙ってまた置いておくと思うのだ。それよりも気になる事がある。尋ねようとした時に柳瀬さんが
「先生、どうしてこの絵には芸術棟が描かれていないのですか?」
 そう尋ねた。そうなのだそれが僕も一番知りたい事だった。恐らく翠ちゃんも同じだと思う。
「それは、柳瀬君も聞いた事あるかも知れないが、創立五十周年の記念事業として古くなった芸術棟を立て直す計画があるんだ。この絵は長くこの学校に掲げられるハズだから、取り壊してしまった建物を描く訳には行かないと考えたんだ」
「でも、新しい建物が建ったらどうするのですか?」
 僕の質問に先生は
「葉山、美術部長としてそれは問題発言だぞ。単に書き足せばいいだけだろうが」
「あ、そうでした」
 何という事だろうか、僕は油絵の基本的な事さえうっかりと忘れていた。
「まあ、明日は来客があるからこの予告状は剥がさせて貰うよ」
 百目鬼先生はそう言って予告状を簡単に剥がしてしまった。その様子を見ていた翠ちゃんが
「明日の来客って今の話に関係があるのですか?」
 先生は、まさか翠ちゃんがそんな事を訊くとは思っても見なかったのだろう、少し驚いて
「天童、お前がそれを気にするか?」
 半分呆れながらも渋々と
「創立五十周年の祝賀会の打ち合わせの為に市の教育委員会から来客が来るんだよ。だから余計にこの絵に今の芸術棟を描く訳には行かなかったんだ」
「そうでしたか……ありがとうございました」
 まあ、実際只のイタズラの可能性もある訳で、今更気にしても仕方ないと考えてしまったのだ。だが、それは甘い考えだったと後で気がつく事になる。

「ねえ、帰りにお茶していかない?」
 翠ちゃんが帰った後で、校門の所から柳瀬さんが僕に声を掛けた。
「柳瀬さん……」
 正直言うとあのままあっさりと帰ってしまっては少々物足りない気もしたのだ。
「いいですよ。僕も喉が乾いていた所でしたから」
「じゃあ、ゆーくんの奢りね」
「ええ、柳瀬さん年上じゃないですか」
「一つ年上の嫁は金の草鞋を履いて探せ、と言うことわざ知らないの?」
「いや、それは……」
「大丈夫、ゆーくんに奢って貰ったツケは体で返すから」
 その刺激的な文言で思わず転びそうになった。それを見て柳瀬さんは嬉しそうにしている。結局近くのファミレスに入って柳瀬さんがチョコパフェ、僕はアメリカンコーヒーを頼んだ。奥の席に向かい合わせで座ると柳瀬さんが
「百目鬼先生、何か知ってるわね。何か隠してる」
「やっぱり、そう感じましたか? 僕もそう思ったのです」
「さすが、ゆーくんね。私の夫になる人だわ」
 全く一々言う事が刺激的で困る。
「それと、私は創立五十周年記念の事と無関係じゃ無い気がするのよ」
 それは僕も同じ気持だった。その後、二人で色々と考えてみたが、結論は出ず。僕たちはファミレスから出た時だった。市立の方から先ほどの清掃委員会のメンバーの一人が顔色を変えて走って来る所にぶつかった。
「ああ、いいところに居てくれました。大変なんです。西口にあった校舎の見取り図が持ち去られていて、犯人からは『気が変わった。こちらを預からせて戴く』って張り紙が貼ってあったのです」
 僕と柳瀬さんは顔を見合せた。
「ゆーくん。犯人はイタズラじゃなかったのよ」
「どうもそうみたいですね」
 僕と柳瀬さんは清掃委員会のメンバーに連れられてもう一度市立に戻ったのだった。
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