「短編」と言う小説サイトご存知ですか? 
1000字以内で小説を創作して、投稿して月例で優勝を争うサイトです。
優勝しても何も貰えません。
読み手の方(誰でも良いのです)が投票をして、優劣を決めます。

私も少し前から投稿を始めました。
1000字に収めるのは以外と難しいです。
色々と創作して行くと、言葉を大切に感じる様になります。
同じ意味を表す言葉でもその場面にあった深い意味を持つ言葉を選ぶ様になります。
私はここに投稿を始めてから創作に幅が出てきた感じがします。
今日から第138期が始まりました。私も「待つ」と言う話で参加しています。
今期は15作品が集まりました。
いずれも優秀な作品ぞろいです。

136期で私は三人同時ですが優勝させて戴きました。4回目の挑戦でした。
次の137期は予選落ちでした。1票も入りませんでした。難しいです。

と言う訳で今期の作品は不味いので、優勝した作品「あたし」を載せて見ます。

 「あたし」

 世の中の事は、ほとんどは時が経つと忘れてしまう。
あたしは、何時もそうだと思って生きてきた。
憎たらしいとその時思ってもすぐに忘れてしまう。
皆は「それはお前が馬鹿だからだ」と言うけれど、大事な事はちゃんと覚えてる。
ちゃんとバイトだって行ってるしね。
安い時給だけど、皆とも楽しくやっているよ。今は何とかやってると思う。あんまり先を考えても仕方ないしね。
でもね、イザと言う時に備えてお金貯めてるよ。満更馬鹿じゃ無いでしょう?

何時も稔は「お前は楽天的すぎる」と言うんだよ。あたしはアマゾン派、そう言ったら「だからお前は馬鹿なんだ」そう言われてしまった。
全く稔の奴、言いたい事言い過ぎだよ。
何回か寝てあげたのに……
稔とは高校も同じ。あまり大学へ行かない学校だった。
卒業しても働く所なんてありゃしない。自然とバイトの生活になった。

稔と寝ても気持ち良いけど、心が切なくなる。
あたしだってそんなにスタイル良く無いけど、稔だって貧弱な体をしている。
「女は痩せた男に抱かれたがるんだ」なんて言ってるけど、女の子としたなんて聞いたこと無い。
だから、あたしとする時はいつも必死、その時は多少は可愛いいと思うけれど……

あたしは男の人を振ったことは無い。いつも振られてばかり、いつも向こうから「別れてくれ」と言われるだけ。
あたしは心の無い人とはつきあっても仕方ないと思うから、いつでも首を縦に振ってきた。
その時は悲しいけれど、直ぐに治ってしまう。だから皆あたしを馬鹿だと言うのかな?

明日はバイトは休みと思ったら、稔からメールが入った。
「今夜行ってもいいか?」だって……きっと今夜もあたしを抱くんだろうな。
別にいいけど、稔としても安心感はあるんだけどな……何か忘れてる感じがするんだ。

稔は何であたしを抱くのだろう?
彼女がいなくて風俗に行くお金が無いから?
だったらもうやらせてあげないんだ。あたしを風俗代わりにしないで……

本当に幼い頃から話していて、あいつが男の子だという事をふと忘れてしまう事がある。
それを思い出させる為にあたしと稔は寝るのかもしれない。
そういうことにしておこう……深く考えても答えなんて無いんだから。
帰りに稔の好きな缶チューハイを何本か買って帰ろう。
一緒に呑んで、たまにはあいつの話を聞いてやるのも悪くは無いかな。
あしたは休み。
稔と二人、目が腐るほど寝てやるんだ……



お粗末様でした。
興味のあるかたは「短編」へどうぞ
今期も面白い作品で溢れていますよ。