縁があったのだろう。俺は彼女と同じ部活動に入って高校時代を一緒に過ごした。
そして彼女はいま、俺の隣で眠りについている。その緩やかな寝息がこちらまで伝わって来る。
高校を卒業した後、色々なことが二人の間にあったが、今はではそれが幻のように感じてしまう。それぐらい今は全てが上手く行っている。
枕元のぼんやりとした仄かな灯りが彼女の顔を少しだけ照らしている。先程まで同じ布団で一つになっていたのが嘘のようだ。
「う、う〜ん」
浅い眠りから目ざめたのか、布団から枕元の水差しに手が伸びる。布団が捲れて素裸の二の腕が顕になる。はっとするような白い腕だ。やがてそれでは届かないと悟ったのか、うつ伏せのまま体を起こした。しどけなく開いた寝間の胸元から深い谷間を覗かせる。やがて俺が見ていたことに気が付き
「起きていらしたのですか」
自分の行動を全て見られていたという恥じらいからか頬を淡く染めていた。
「ああ、眠れなくてな。お前の寝顔を見ていた」
「趣味が悪いです」
「そうか、それはすまん」
「駄目です。許しません」
「おやおや怖いことだ」
彼女は水差しからグラスに半分ほど水を注ぐとそれを口に含み半分ほど飲み込んだ。そして俺の顔を抱き込み、そのまま口を付けて残りの水を俺に口移しで飲み込ませた。やっと飲み込み
「こぼしたら布団が駄目になるところだった」
悪い遊びを注意すると彼女は自分の布団から俺の布団に移って来た。
「眠れないなら……」
彼女はそこまで言うと俺に口づけをして来た。お互いが口の中で絡み合うような濃厚な口づけだった。思い切り彼女の躰を抱きしめる。柔らかで溶け込みそうな感触が襲う。
彼女が俺の手を取り、自分の寝間の紐を外しにかかる。開くと中は何も身に付けていなかった。大きく美しい形の良い二つの高まりが俺を誘っているようだった。
「脱がせてあげます」
そう言って彼女は俺の寝間も脱がせにかかる。
「うふ。もうこんなに……」
「こんな素晴らしい景色を見て正常に居られる訳がないよ」
彼女の右手が俺の固くなったものを柔らかく握る。そのまま抱きしめて口づけをしながら、寝間を肩から脱がせ、生まれたままの姿にする。仄かな灯りに照らされて浮かび上がる裸身は想像以上に美しく男の欲望を掻き立てる。
「なぜ何も下に身に着けていなかったんだ」
「あなたも同じでした。同じ理由です」
そう言って俺の股間に顔を埋めた。
お互いに求め合い喜びを求め合う。彼女が何度も極めた後に俺も彼女の中に喜びを放出する。
その後俺が腕枕をすると喜んで頭を付けて来て俺の胸に顔を埋めて
「このまま朝まで……」
そう御ねだりをして来たので、黙って頷く。お互い素裸のまま抱き締め合う。布団を肩まで掛けてやると、そのまま寝息を立て始めた。俺もいつの間にか眠りに落ちた。
翌朝、気がついてみると彼女の姿はなく、朝日が部屋に差し込んでいた。
「起きましたか?」
彼女が無地の薄く蒼いウールの着物の上に割烹着を着て部屋に入って来た。
「早起きだな」
「はいお風呂も沸かしておきました。あなたもお入りなさいな」
そうか、昨夜はあのまま寝て、今朝早く風呂に入ったのかと納得した。綺麗好きな彼女なら、あの後シャワーでも浴びると思ったのだが、それより温もりが大事だったのだと思った。
言われたまま浴室に赴くと、着替えやタオルがちゃんと用意されていた。顔を見せた彼女に
「出来れば一緒に入りたかったな」
そんな戯言を言うと
「わたしも、そう思いました。でも、あなたが中々起きませんので、遅くなってしまいました。今度二人だけの時に一緒に入りましょう」
「明るい時にかい」
その言葉には返事こそしなかったが、嬉しそうな表情が物語っていた。
さて今日も頑張って働こうか。
<了>