2020年03月

氷菓二次創作 「夫婦の寝室」

地学講義室の入り口の扉を開けた時に、その音で振り向いた彼女と初めて出会った。その姿を見て、『瞳の大きな人』だと思った。
 縁があったのだろう。俺は彼女と同じ部活動に入って高校時代を一緒に過ごした。
 そして彼女はいま、俺の隣で眠りについている。その緩やかな寝息がこちらまで伝わって来る。
 高校を卒業した後、色々なことが二人の間にあったが、今はではそれが幻のように感じてしまう。それぐらい今は全てが上手く行っている。
 枕元のぼんやりとした仄かな灯りが彼女の顔を少しだけ照らしている。先程まで同じ布団で一つになっていたのが嘘のようだ。
「う、う〜ん」
 浅い眠りから目ざめたのか、布団から枕元の水差しに手が伸びる。布団が捲れて素裸の二の腕が顕になる。はっとするような白い腕だ。やがてそれでは届かないと悟ったのか、うつ伏せのまま体を起こした。しどけなく開いた寝間の胸元から深い谷間を覗かせる。やがて俺が見ていたことに気が付き
「起きていらしたのですか」
 自分の行動を全て見られていたという恥じらいからか頬を淡く染めていた。
「ああ、眠れなくてな。お前の寝顔を見ていた」
「趣味が悪いです」
「そうか、それはすまん」
「駄目です。許しません」
「おやおや怖いことだ」
 彼女は水差しからグラスに半分ほど水を注ぐとそれを口に含み半分ほど飲み込んだ。そして俺の顔を抱き込み、そのまま口を付けて残りの水を俺に口移しで飲み込ませた。やっと飲み込み
「こぼしたら布団が駄目になるところだった」
 悪い遊びを注意すると彼女は自分の布団から俺の布団に移って来た。
「眠れないなら……」
 彼女はそこまで言うと俺に口づけをして来た。お互いが口の中で絡み合うような濃厚な口づけだった。思い切り彼女の躰を抱きしめる。柔らかで溶け込みそうな感触が襲う。
 彼女が俺の手を取り、自分の寝間の紐を外しにかかる。開くと中は何も身に付けていなかった。大きく美しい形の良い二つの高まりが俺を誘っているようだった。
「脱がせてあげます」
 そう言って彼女は俺の寝間も脱がせにかかる。
「うふ。もうこんなに……」
「こんな素晴らしい景色を見て正常に居られる訳がないよ」
 彼女の右手が俺の固くなったものを柔らかく握る。そのまま抱きしめて口づけをしながら、寝間を肩から脱がせ、生まれたままの姿にする。仄かな灯りに照らされて浮かび上がる裸身は想像以上に美しく男の欲望を掻き立てる。
「なぜ何も下に身に着けていなかったんだ」
「あなたも同じでした。同じ理由です」
 そう言って俺の股間に顔を埋めた。
 お互いに求め合い喜びを求め合う。彼女が何度も極めた後に俺も彼女の中に喜びを放出する。
 その後俺が腕枕をすると喜んで頭を付けて来て俺の胸に顔を埋めて
「このまま朝まで……」
 そう御ねだりをして来たので、黙って頷く。お互い素裸のまま抱き締め合う。布団を肩まで掛けてやると、そのまま寝息を立て始めた。俺もいつの間にか眠りに落ちた。
 翌朝、気がついてみると彼女の姿はなく、朝日が部屋に差し込んでいた。
「起きましたか?」
 彼女が無地の薄く蒼いウールの着物の上に割烹着を着て部屋に入って来た。
「早起きだな」
「はいお風呂も沸かしておきました。あなたもお入りなさいな」
 そうか、昨夜はあのまま寝て、今朝早く風呂に入ったのかと納得した。綺麗好きな彼女なら、あの後シャワーでも浴びると思ったのだが、それより温もりが大事だったのだと思った。
 言われたまま浴室に赴くと、着替えやタオルがちゃんと用意されていた。顔を見せた彼女に
「出来れば一緒に入りたかったな」
 そんな戯言を言うと
「わたしも、そう思いました。でも、あなたが中々起きませんので、遅くなってしまいました。今度二人だけの時に一緒に入りましょう」
「明るい時にかい」
 その言葉には返事こそしなかったが、嬉しそうな表情が物語っていた。
 さて今日も頑張って働こうか。

                               <了>

氷菓二次創作 「夫婦の営み」

内容が内容ですので、一応R-18としました。

 俺が千反田と一緒になってから三ヶ月が過ぎた。当初は鉄吾さんも家を継がなくても良い。と言っていたものの、俺が婿入りでも構わないと考えていることや、えるが農学の道に進み博士号まで取得した事などから当初の考えを改めた。
「いや、本音ではそりゃ、えるに継いで貰いたいと思っていても、今どき婿入りする人物なぞ居ない。来るのは能力の低い者かウチの財産目当ての者と相場が決まっている。だから自由にしても良いと言ったんだよ。でも、まさか奉太郎君みたいな人物がえると同級生で、しかもお互いが想い合っていたなんて思わなかった」
 そんな経緯があって俺は折木奉太郎から千反田奉太郎と姓を改めた。だがこれは俺が思っていたより大変な事だった。と言うのも俺は鉄吾さんの後継者となった訳で、それならば、将来は鉄吾さんに変わってこの千反田を動かさなけれなならない訳だ。
 物事の順序としては最初は顔繋ぎが重要になる。俺が新しい後継者として、神山の有力者達と会って覚えて貰う事が重要となるのだ。これが意外と大変で、俺は連日夜になると、アチコチの会合に引っ張り出さられて呑まされた。帰るのは深夜近くとなる。
 翌日は五時起きで、日中一杯本業の農業のことを学ぶのだ。夕方終わって一風呂浴びれば夕方から始まる会合に顔を出す訳だ。
 こんな生活を三ヶ月も続けていたら、体が持つ訳がない。当然夜のお仕事はお休みとなる。というより、そんな気が起きない。
 深夜近くなら夫婦二人でお風呂に入り、アンなことやコンなことをするとは思うが、風呂は昼の仕事が終わるとすぐに一人で入る。妻のえるとは別々なのだ。
 当然、えるの欲求が高まって来るが、なんせこちらも人間だ。そうは行かない。結婚当初の数日は本当に朝から夜まで頑張った。それがマズかったらしく、えるは、それが夫婦として、当たり前だと勘違いしてしまったみたいなのだ。
「今夜もお疲れですか?」
 枕元に淡い色のスタンドの灯りを燈して悩ましげに、そして寂しげに語りかけるのだが、何せ体が持たない
「明日な。明日なら……」
 そう言って布団を被るのだった。
 そうして三ヶ月が過ぎてしまったのだ。

 やっと会合も少なくなって来た二月の中頃に、農協のバスツアーが行われることになった。千反田からは鉄吾夫婦とお婆さんも参加することになった。
 二泊三日の温泉旅行だ。これは農閑期を利用して毎年この時期に行われているらしい。例年なら俺たち若夫婦も参加するそうだが、今年はそうは行かなかった。と言うのも、ウチの畑ではえるが作った新しい小麦の試験栽培をしているのだ。これは俺とえるが進める事業だから人任せにする訳にも行かない。結局、俺たち二人は残ることになった。
 だが、それほど仕事は無いのだ。精々が試験栽培をしている畑を見回る事ぐらいだ。それも早朝に終わってしまう。
 バスを見送って家に帰って来る
「おお寒い。家の中は暖房が効いていて温かいな」
 家の中はエアコンを始め、ガス温風ヒーターや色々な暖房があり、かなり温かい。それにしても温か過ぎないか? コートを脱ぎ、上着も脱いてセーター一枚になる。それでも汗が出るぐらいだ。
「おい、何だか暑すぎないか」
 キッチンに居るはずのえるに声を掛ける。
「そうですが。暑ければ脱げば良いと思います。私は脱ぎましたよ」
「それはそうだが、脱いでも暑いと思わないか?」
「それは脱ぎ方が足らないと思います」
 そう言ってキッチンから出て来たえるの姿を見て驚いた。素っ裸……いや、正確には自分の腰の前の部分を小さなエプロンで隠している。それだけなのだ。豊かで形の良い胸や艶めかしいウエストも全て露出している。
「ほら後ろもですよ」
 そう言ってクルっと回れば豊かな胸がぷるんと揺れる。そして形の良い二つのお尻が丸出しだ。その尻の上にエプロンの紐が結んである。あれを外したいと考えてしまった。
「おい、朝からなんて格好してるんだ」
 そうは口から出たが、この姿をもっと楽しみたい、という思いもあった。
「いいじゃ無いですか。今日明日は二人だけです。地域の人も皆旅行に行っています。誰も来ません。来ても居留守すれば良いです。もう三月も何も無いんですよ。わたしもう……」
「それでそんな格好をしたのか?」
「実は摩耶花さんに相談したのです。摩耶花さん夫婦はマンネリになると、摩耶花さんが色々な格好をして福部さんを誘うのだそうです」
「あいつら、そんな事やっているのか」
「元々は沙也加ちゃんが生まれてから、回数が減ってしまったので摩耶花さんがこの格好をしたのだそうです。そうしたら授乳中だったので摩耶花さん、お乳が張っていて物凄く巨乳になっていたので福部さんが喜んだのだそうです。それがヤミツキになったとか。だからわたしが相談したら、是非やって見た方が良いとアドバイスしてくれたのです」
 あいつらも、それなりにやってるのだと思った。確かに今日と明日は二人だけで邪魔をする者は居ない。そう考えを改めて、俺は目の前にある豊かな膨らみに手を伸ばす。
「ああんエッチです」
「どっちがエッチなんだ」
「奉太郎さんです」
「どうしてだ?」
「だって、わたしは裸同然ですが奉太郎さんはセーターとズボンを履いています。わたしと同じ格好をしてください。そうなれば対等です」
 変な理屈だが確かに俺がここで服を着ている必要は無い。俺は素裸になると、えるを押し倒す。そして両足を広げてエプロンを捲る。そこは既に外から見ても判る程濡れていた。
「何だもうグショグショじゃないか」
「だって、朝のお日様の明るい内から、こんな格好をして夫とはいえ人に見詰められて、恥ずかしくて、恥ずかしくて……摩耶花さんが『ヤミツキになる』と言った事がわかります」
 その泉に舌を這わすと泉の主は喜びの声をあげた。
「ああん、本当に久しぶりです」
 俺の何かに火が点いた感じだった。シックスナインの形になるとお互いの口で愛し合う。しばらくその状態だったが、やがて
「もう……お願いします」
 哀願されるまでもなかった。己の硬くなったものを溢れる泉に挿入した。そして果てるまで求め合ったのだった。
 正直言うと俺は、えるのその格好が気に入ってしまい。その日一日、更に翌日もエプロン一枚にさせた。そして何をする時にも傍に居させて、えるの豊かな躰の感触を楽しんで、お互いが求め合えば応じあったのだった。
 三日目は夕刻に皆が帰って来るので、朝から二人で家の掃除をした。昼頃までには終わって、素知らぬ顔で出迎えたのだった。
 その夜、自分達の部屋に下がると、えるが
「わたし、ヤミツキになりそうです。今度はどんな格好しようか今から考えておきます」
 そう言って妖艶な笑みを浮かべた。俺も
「里志達はどんな事やってるか訊いてみるか?」
 そう返すと
「二人目が欲しいと言ってましたから、きっと凄い事やってると思います」
 そんな返事が来た。俺はえるを抱きしめキスをすると
「あんなに沢山したのに、今夜もですか?」
 そう言って少し驚くので
「嫌かい?」
 そう尋ねると
「いいえ。今夜はどんな……」
「何も身に着けないこと」
 そう言ってえるの衣服を脱がせた。


                            <了>

風に吹かれて 26 (終)

 喬一郎と仙蔵が一緒に飲んだ夜から数日後のことだった。芝居が替わっていて、仙蔵は上野の鈴本の昼席でトリを取っていた。仲入りには圓城が出ている。
 その二日目のことだった。仙蔵が楽屋入りすると圓城が残ってお茶を飲んでいた。
「おや珍しいねぇ」
 仙蔵が圓城に対して軽口を言うと圓城も
「うん、そうだろう。仙ちゃんと話がしたくてさ。初日は何かと忙しいから二日目と決めていたんだ」
 そう言って返した。仙蔵は
「実はそろそろだと思っていたんだ」
 そう言って圓城の言葉を意外とは思っていない感じだった。
「バレてたか」
 圓城がそう言って笑うと仙蔵は隣に座った。そこに前座がお茶を出した。それに口をつけながら
「終わったら何処かで飲むかい?」
 そう誘い水を向けると圓城も
「そう願いますな」
 そう言って再び笑った。

「ま、一杯」
 仙蔵が圓城のグラスに酒を注ぐ、ここは鈴本の近くの仙蔵の行きつけの店だった。
「結構強かったよね?」
 仙蔵がそんなことを言うと
「ま、人並みには」
「馬並みだって?」
 仙蔵は、圓城の返事にそんな軽口を言った。
「落語の未来に乾杯!」
 グラスを重ねて口を着けると圓城が
「次の『古典落語を聴く会』のゲストは圓海アニさんでしょ」
 次の回のゲストの名を口にした
「ああそうだよ。もう告知済みだしな」
「圓海アニさん古典一本槍だけど、実は新作も昔はやっていたんだよね」
 圓城がそう言って兄弟子である圓海のことを語ると仙蔵も
「そういえば聴いた記憶がある。確か俺が前座の頃だったかな」
「うん。末広だか浅草だか忘れたけど、十日のうち二日ぐらいはやっていたんだよね」
「俺が前座の頃、アニさんは既に二つ目で、しかも真打昇進間近だったから覚えている」
「自分は兄弟子だったから良く稽古をつけて貰った。その中には今では誰もやらなくなった新作もあったんだ」
「それは意外だな。復帰してからは古典だけだけどな」
  仙蔵にとって、圓海は別な一門だから内情までは分からない。そんな仙蔵の表情を見ながら圓城は意外なことを口にした。
「実はさ、新しい落語集団というか、落語会をやりたいんだよね」
「新しい落語会?」
 仙蔵の疑問に圓城は
「うん、古典と新作の噺家を選んで固定メンバーでさ」
 そう言って目を輝かせた
「メンバーとか人数は?」
 仙蔵の質問に圓城は
「古典派から三人。新作から三人」
 そう答える
「六人かい?」
「いいや七人。名付けて『七人の噺家』」
「なんだい、『七人の侍』のシャレか」
「まあね」
「もう一人は?」
「両刀遣い」
 圓城はそう言ってニヤリと笑った。仙蔵はそれを聞いて、先日喬一郎に語ったことが上手く圓城に伝わったと感じた。
「だから、古典のメンバーを推薦して欲しいんだ。無論『古典落語を聴く会』の中から」
 仙蔵は、少し考えてから
「そうさな。俺は?」
「当然! 俺も出るから」
 圓城がそう言う
「じゃあ、仙蔵、柳生、遊蔵だな」
 仙蔵の返事に圓城も
「こっちは、圓城、小艶、白鷺となるな」
 そう答えると
「じゃあ両刀は決まりだな」
「喬一郎に出て貰う。彼にはその時々で古典をやって貰ったり、新作をやって貰ったりして貰おうと考えているんだ」
 圓城の案に仙蔵は
「あいつの古典は捨てるには惜しいからな。それにアイツは何時か両方の良い所を受け継いで行くような気がするんだ」
 そう返事をすると
「この前、浅草で一緒だった時に色々と吹き込まれたみたいでね」
「それと知って、こうやって話を持って来たんだろう」
「まあね」
「でも実際はどうするんだい?」
 仙蔵の質問に圓城は
「今やってるそれぞれの会、『古典落語を聴く会』『革命落語会』はそれぞれ二月に一度開いているけど、これを三月に一度に変更する。そして、この『七人の噺家』を半年に一度開くという案を持ってるのだけどね」
 圓城の案を聴いた仙蔵は
「次の回は会場も抑えてチケットも販売済みだから、その次からだな。そっちだって次のは決まってるんだろう」
 新作派の対応を問うた
「そう、だからこれは早急という訳じゃないんだ。早くても半年後とかね。来年になる可能性の方が高いとは思っている」
「そうか、全ては今からなんだな」
「そう、古典と新作、これがこれからどうなるかは俺達にも少しは責任があるが、所詮、最後までは見届けることなぞ出来やしない」
 圓城の言葉に仙蔵も
「そう、どうなるかは誰にも判らないさ。風に吹かれるままなのさ」
 第三回の「古典落語を聴く会」は盛り上がりを見せた。ゲストの圓海師の熱演もあって盛況だった。そして会の終わりの挨拶で、仙蔵から「七人の噺家」の発表がなされた。
 そしてマスコミは一斉にこれを報道したのだった。
 翌朝、その報道された新聞を眺めながら乾は
「完全に圓城さんにやられましたね。まあ、これでお互いに危機感を持ってくれれば、それで良いのですけどね。落語は危機感を持たないと駄目になります。もうすぐそこまで講談の波が押し寄せているのですから」
 乾はそう言って話題になっていて爆発的な人気を呼んでいる、講談の真打襲名披露の記事を眺めた。


                                                                       <了>


※とりあえず第一部終了ということです
最新コメント
記事検索
QuickBooksブログララノコン
QuickBooksララノコン情報
  • ライブドアブログ