2019年01月

となりのサキュバスちゃん 第5話

「健太さん。恥ずかしいので目を瞑るか後ろを向いておいてください」
 佐久さんは、ブラウスのボタンを一つ一つ外しながら、少し頬を赤く染め僕にお願いをする。
「あ、はい。そうですよね。じっと見てると恥ずかしいですよね」
 僕はそう言って後ろを向いて、しかも目を閉じた。
「全て脱いだら声をかけますからね」
 僕は後ろから聞こえる衣服を脱ぐ音。さしすめ着物なら「衣擦れ」の音と言うのだろうが、その音を楽しんでいた。だって、その音が止まった時は佐久さんが生まれたままの姿になってくれているのだから。
「もういいですよ」
 佐久さんの、その声に目を開けて振り返ろうとした瞬間、何か霧のようなものが降り降りて来て次の瞬間僕は意識を失った。

 ああ良かった。上手く薬が効いてくれたわ。健太くんにかけたのは意識を失って貰う悪魔薬ね。中々寝ないターゲットを夢に誘う薬なの。現実の世界で相手をするつもりだったのだけど、よく考えたら何も現実の世界で無くても良い訳なのよね。
 この前思い掛けない事で失敗しちゃったから調子崩しちゃった。健太くんよく寝てるわ。大丈夫。夢の世界でたっぷり良い事してア・ゲ・ル!
 さて、それでは健太くんの夢の世界に入りましょうね。どれどれ……。
 あら健太くんは何処かの島のビーチに居るのね。この前は温泉だったし、非日常が好きみたいね。ならこっちもその気でやるわ。今日は特別エッチな水着で現れましょうね。

 確か佐久さんと鍋を食べていたはずなのだが、今は何処かの島のビーチに居る。島だと何故判るかというと何となくなんだ。
 空が青い! 海は透き通り、本当に綺麗だ。昨年行った沖縄の海もこんな感じだったと思い出した。風が気持ち良い。僕は海水パンツ一枚で浜辺に敷いたシートに座ってる。大きなシートで二人は楽に足を投げ出していられる。
「健太さん」
 声のする方を見ると何と佐久さんがこちらに歩いて来るではないか。しかもその姿が素晴らしかった。
 メガネビキニとも言うのだろうか、胸の部分が先端しか布が覆っていない。殆どが丸見えになっている。細い紐だけでその先端の小さな布の部分を吊っている感じだ。下はもっと凄かった。両サイドが紐で結ばれていて大事な部分が鋭くカットされていて逆二等辺三角形になっていて、ヘアーが濃い人だと完全にはみ出してしまう。でも佐久さんはカットしてるのか、あるいは元から生えて無いのか、はみ出してはいなかった。
「健太さん。どうこの水着。似合うかしら?」
 似合うなんてもんじゃない。歩く度に大きな胸が揺れて先端の布がずれそうだった。僕はずれる事を心の中で期待してしまった。
「後ろも見てくださいね」
 佐久さんはそう言って僕の目の前で後ろ姿を見せてくれた。凄い! 後ろは完全な紐だけでお尻の割れ目に完全に紐が食い込んでいて何も履いていない感じがした。僕は堪らなくなってしまった。
 立ち上がると僕は佐久さんの手を取って自分の方に引き寄せた。佐久さんは抵抗なく僕の腕の中に落ちてくれた。佐久さんの躰の柔らかい感触が堪らなかった。
「佐久さん好きです。大好きです!」
 僕は佐久さんを抱きしめて唇を襲った。ねっとりと舌を絡ませる。佐久さんも自分の舌を僕の舌に絡ませてくれる。ああ、キスがこんなに気持ちの良いものだとは思わなかった。僕の下半身は完全に準備完了となっていて、固くなったものを佐久さんの下半身に当てがう。
「凄い! こんなに固くなって」
 佐久さんは僕の水着の上から優しく触ってくれる。その感触がもう堪らない。
「佐久さん。僕もう我慢出来ません」
 僕は荒々しく佐久さんの水着の紐を外しにかかる
「あらあら、あせっちゃって……大丈夫。ここは誰も来ないから。二人だけだから」
 そう言いながら僕の海パンを脱がせてしまった。素早い! いったい何時脱がしたのだろうか?
「ふふふ。もうカチコチね」
 佐久さんは僕の固くなり、天を向いたモノを優しく握り軽くしごきにかかった。
「そ、そんな事されたらもう……」
「一回ぐらい出しても大丈夫でしょう」
 それはそうだが、出来れば佐久さんの中でしたいと思った。
「一回で終わりじゃ嫌!」
 ああ、なんてことを言うのだろう。こんな幸せはあるのだろうか。
 そんな事を言ってる間に佐久さんのメガネビキニの胸の部分の紐が解け、素晴らしいとしか言いようのない胸が顕になった。
「とうとう脱げちゃったぁ」
 佐久さんは嬉しそうな恥ずかしそうな表情をしている。そんな感じがもう堪らなかった。思わずその素晴らしい胸の手が伸びた。何という感触だろう。弾力と言い、柔らかさと言い文句の付けようが無かった。
「やさしくしてね……」
 僕と佐久さんはそのままシートの上に倒れ込んだ……。
 気がつくと炬燵に入ったまま寝てしまったみたいだった。グツグツと鍋が煮えている所を見ると時間は経っていない感じだった。僕は佐久さんを目で探した。
「あら起きました。私がブラウスのボタンを外していたら眠ってしまったのですよ。お酒が強すぎたのかしら。起きたら続きをし・ま・しょ!」
 何と言う事だろうか現実の世界でも夢の世界でもあと一歩という所で駄目になるなんて、なんてついてないのだろうか。
「大丈夫。未だ夜は長いから……」
 そう言って佐久さんは僕の衣服を脱がせると自分もブラウスを脱いだ。そして僕の手を取るとミニスカートの中に僕の手を導いたのだ。そこには布の感触は無く暖かく柔らかい感触だった。しかもその中心が湿っていた。
『何も履いてない!』
 それが判ると僕は体中の血が逆流するのを感じたのだった。

 夢の中で健太くんの押し倒されて気がついたのよ。夢の中でこんな美味しい思いをするなら、現実でも良くないかと思ったの。一度でも現実で結ばれてしまえば、この先永遠に健太くんは私の奴隷同然になるのよね。夢なら簡単に出来るけど、それなら面白くないのよね。ルーティンワークというか何と言うか慣れた仕事の延長なのよね。
 健太くんはそれじゃ惜しいのよ。上玉なのよ。一度じゃ勿体無いのよね。それに気が付いたから夢は中断した訳なの。これからたっぷりと現実の世界で楽しむ事にするわ。
え? なんで下に何も履いてなかったのかって? あのねサキュバスはターゲットの前に出る時は基本下半身はハダカなのよ。それが決まりなのよ。だから今日もノーパンなの!

となりのサキュバスちゃん 第4話

 もう今度は必ず成功させるんだから! あ、「成功」じゃなくてこの場合は「性交」ね! 兎に角、若い子が年寄りみたく電気毛布なんて使ってるなんて思わないじゃない。でもね、相棒のインキュバスに言ったら
『若い男子は体脂肪が少ないから寒がりが多い』
 なんて言っていたわ。それもそうかと思ったのよ。それでね、今度は間違いのないように一緒に食事をすることにしたの。場所は私の部屋。料理は何が良いか考えたのだけど、未だ少し寒いから鍋物が良いと思うの。鍋なら二人でつつきながら会話も弾むし、何より私が前かがみになって胸を大きく開ければ、健太くんの視線は当然胸に行くでしょう。
 それに鍋ならお酒は付き物。インキュバスに悪魔界から特性のお酒を持って来て貰ったのよ。彼だって必死よ。私が性交しなければお宝が手に入らないんだからね。協力して貰ったのよ。
 鍋は何が良いか考えたのよ。でもここはオーソドックスに寄せ鍋にしたわ。寄せ鍋なら色々な物が入っているから、悪魔界の食材が入っていても判らないと思うの。特に「惚れエリンギ」とか最高よ。食べたら体が火照って来て我慢出来なくなるのよ。それと「恋恋豆腐」なんてのも良いわね。我慢できなくなること請け合いよ。楽しみだわ。さあ支度しなくちゃ。

 今日の僕は講義が午前中には終わってしまうんだ。だからそれからバイトのシフトが入っていて、終わるのが午後7時過ぎなんだ。普段だとお腹ペコペコで途中で何か買ってしまうんだけど今日は特別。だって隣の佐久さんと一緒に夕食を採る事になっているんだ。これ最高でしょう。綺麗で可愛くて巨乳な人が僕と二人だけで夜を過ごすんだよ。これがチャンスと言わなくて何だろうか。僕は特別肉食系では無いけど草食系でも無い。そっちはごく普通の感じだと自分では思ってる。エッチな本も買うし、AVだって借りちゃう。大学に行けば講義の合間に可愛い子を探してる事もあるしね。そこら辺りに居る極普通の大学生だと自分では思ってる。
 だから、あんな素晴らしい佐久さんが隣と言うだけで僕に優しく親切にしてくれるのが不思議なんだ。もしかして、佐久さんは僕みたいなのが好みなんだろうか? ならばこのチャンスをモノにしなくてはならない。
「それじゃお先に失礼します」
 僕はバイトの切り上げ時間となり、帰る支度を始めた。支度と言っても制服を脱ぐだけなんだけどね。そして帰ろうとすると店長が
「山縣君悪いんだけど、次の交代の子が遅れるそうなんだ。頼むから来るまでお願い出来ないかな?」
 何という事だろうか、よりによって今日残業をするなんて! アンラッキーだと思った。こんな事なら佐久さんの連絡先を訊いておくんだった。渋々僕は制服をもう一度着た。
 イライラ仕事すること一時間余り。やっと交代が出来た。僕は速攻で着替えて「お疲れさま」と走りながら口にした。皆が驚いて口を開けて見ていた。でもそんなの構わない。早く帰らないと佐久さんが僕の帰りを待っているのだから。
 運悪く途中の踏切に引っかかってしまった。この踏切は一旦閉まると長いんだ。僕はスマホの時計を見ながらイライラして足を動かしていた。
 どのぐらいだろうか、やっと踏切が開いたので僕はダッシュで走り出す。そんなこんなで部屋に着いたのは八時半過ぎだった。部屋に帰り着替えるとチャイムが鳴った。出ると佐久さんだった。
「おかえりなさい。支度出来ていますよ。一緒に食べましょう。今日は鍋にしたんです」
「そうなんですか! 僕、鍋好きなんですよ。嬉しいなぁ」
 これは本心だった。一人暮らしをしていれば鍋物などは作らない。だから鍋物を食べるのは久しぶりだった。
 佐久さんの後を付いて行く。
「さあどうぞ」
「おじゃまします」
 よく考えたら佐久さんの部屋に入るのは始めてだった。部屋の造りは僕の所と同じだが、ここは角部屋なので本当は壁があるところに窓がある。夜だから判らないが昼だったら開放的なんだろうと思った。
 部屋の方に行くと炬燵の上のテーブルにカセットコンロが置いてあり、その上に大きな土鍋が乗っていた。横には大きな皿に色々な具材が乗っていた。鍋からは、早くも美味しそうな香りを出していて、具材が煮えていた。
「寄せ鍋ですか!」
「はい。お好きですか?」
「勿論です!」
 というより、佐久さんの作ったものなら何でも食べるつもりだった。
「さあ座ってください」
 そう言われて佐久さんが座布団を示した所に座る。佐久さんが向かい側に座るのかと思ったら何と、隣と言うか角というか、つまり九十度横に座ったのだ。近い! 何だか佐久さんが積極的な感じがしたが
「ここの方が食材を入れやすいものですから」
 そうかそれが理由か。少しガッカリしたけど佐久さんが杓子で僕の取り皿に煮えた具材を入れてくれる。そして
「健太さんはお酒は?」
「多少なら」
「日本酒も?」
「はい。好きです」
「それは良かった。田舎から地酒を送って来たんです」
「地酒ですか! それは嬉しいですね」
 佐久さんは冷蔵庫から五合瓶を出して僕に見せた
「これなんですよ」
「『薔薇錦』ですか? 変わった名前ですね」
 そんな事言ったけど、佐久さんが呑ませてくれるなら何でも良かった。佐久さんは小さなグラスを出して来て、僕に持たせてくれた。
 佐久さんが立ち上がる度に僕の目の前に佐久さんのミニスカートから伸びた美しくセクシーな脚に目が行ってしまう。素足が眩しかった。
 トクトクとお酒が注がれて佐久さんが
「呑んでみてください」
 そう言うので僕はグラスを口に運んで「薔薇錦」を口に入れて飲み込んだ。果実のような香りと共に爽やかな感じが口と喉に広がった。美味しい! こんな酒は初めてだった。
「これ美味しいですね。こんなお酒初めて呑みました」
「そうですか。それは良かったです。さ、もっと」
 言われて二杯目を口にする。本当に美味しい。
「鍋もどうぞ」
 そうだった、せっかくとよそってくれたのに冷めてしまう。僕は取り皿を左手で持って、エリンギと思われるキノコを口にした。普通のエリンギより旨味が強く食感が良い。これは堪らないと思った。
 それからお酒も鍋もドンドン進み。僕は少し酔いが回って来た感じがした。気がつくと佐久さんが僕の隣に座っている。僕の肩と佐久さんの肩が重なってる。佐久さんのブラウスの胸が開いていて豊かな胸の谷間が奥の方までハッキリと見えた。僕の視線は釘付けになった。
「あれ? ここ気になります?」
 佐久さんがそう言って自分の胸の谷間を指さした
「あ、はい。正直に言うと非常に気になるんです」
 酔ってるせいか言葉尻が少しおかしかった。
「もしかして健太さんは私の躰を見たいのですか?」
 え、今何と言ったのだろうか? 聞き間違いで無ければ「躰を見たいのですか」と言ったと思った。こんな時は何て返事をしようか。
「あ、出来れば……」
 そんな返事しか出来なかった。でも佐久さんは
「どうしようかなぁ。私も女だから健太さんの前でハダカになるのは少し恥ずかしいけど健太さんが望むならば……」
 これはチャンスだ。このチャンスを逃してはならないと思った。
「正直言います。佐久さんの何も身に付けていない姿が見たいです」
 言ってしまった。とうとう思いの丈を口にしてしまった。多分駄目だろうな。良くても「そんな冗談は駄目ですよ」なんて事になるのだろうと考えていたら
「健太さんが望むなら、私生まれたままの姿になります」
 そう言ってブラウスのボタンを外し始めたのだった。

となりのサキュバスちゃん 第3話

 僕の隣に来た佐久さんは
「この温泉は体に良いらしいですよ」
 そんな事を言って僕に笑顔を見せてくれている。僕はバスタオルでも隠せない深い胸の谷間に視線が釘付けになってしまってる。
「ここは湯船にタオルを入れては駄目なのですよね。バスタオルを取っても良いけど、そうすると健太さんに裸を見られちゃうから、少し恥ずかしいです」
 佐久さんはそんな事を言ってバスタオルを取る仕草をして見せた。
「正直言います。僕、佐久さんの裸を見たいです」
 言ってしまった。とうとう心の中の想いを口に出してしまった。後悔をしてると、何と佐久さんは肩まで湯に浸かると、ゆっくりとバスタオルを自分の体から左右に解き放った。僕は興奮状態でのぼせそうだった。でもばっちりと佐久さんの肢体が拝めると思ったのだが、佐久さんの体はお湯の中に隠れてしまって湯気の影響もありよく見えない状態だった。でも僕の興奮状態はピークを迎えようとしていた。だって、手を伸ばせば、そこに念願の佐久さんの肢体が手に入るかも知れないのだ。豊かな胸の感触も確かめられるかも知れない。
 そんな事を考えたのが良くなかったのか、僕は段々と息が苦しくなって来ていた。どうしたんだろうか、目の前が少しずつ暗くなっていく……意識が遠くなるのを感じた……。

 ここは健太くんの夢の中、設定は何処かひなびた温泉にしたわ。勿論混浴よ。健太くんが入っている所にわたしが入って行き、散々じらせて健太くんがわたしを襲う感じで精液を頂こうと思ってるの。きっと上手く行くわ。
 露天風呂の引き戸を開けると湯気の向こうに健太くんが入っていたわ。ここまでは計画通り。
「あら、健太さん?」
 なんてわざとらしいく声を掛けると彼は
「あれ佐久さんですか? どうしてここへ?」
 そんな事を言っているわ。わたしは
「あら、わたしがここに来てはおかしいですか? そんな事よろしいじゃ無い。わたし健太さんと二人でお風呂に入りたかったの」
「いえ、余りにも突然だったもので驚いているところです」
 彼がそう言って少し戸惑っているのでわたしは
 「そちらに行っても宜しい?」
 そう言って健太くんの返事には構わずに隣に座った。痛いほどの視線を感じるわ。ふふふ悪魔冥利につきるというものだわ。
 わたしはここでバスタオルを脱ぐ仕草を見せると、健太くんの興奮は最高潮になってるみたいだった。もう少しだわ。ここでわたしの裸を見せれば一発で落ちると確信したの。でもここでわたしの想像の斜め上を行く展開になってしまったのよ。
 何と健太くんが興奮し過ぎて、のぼせてしまったの。意識を無くしてぐったりとしてしまったのよ。幾ら温泉に入ってるとは言え、ここは夢の中よ。実際に温泉に入ってる訳じゃ無いのに……。
 そこまで考えて、わたしは夢の中で健太くんを湯から出して洗い場に横にして、現実の世界に戻って来たの。要するに健太くんの部屋ね。そうしたらこの子、若いのにベットに電気敷毛布なんて入れているのよ。しかも温度設定が最高になってるの。どうやらわたしの媚薬入の肉じゃがを食べたせいで、温度設定を最高にしたまま眠ってしまったみたい。敷毛布の温度と実際の興奮状態。それも夢の中なので調整が出来ないから、のぼせてしまったみたいね。
 わたしは仕方なく電気敷毛布のスイッチを切って、布団を剥いで彼の体を冷やす事にしたの。春とは言え未だ夜中は冷えるから直ぐに正気に戻ったみたいなので、わたしは今夜は諦めて部屋に帰ったのよ。幸いわたしは部屋の壁やドアをすり抜ける事が出来るからね。次のチャンスに賭けるつもりよ!

 虚ろな意識の中で僕は目が覚めた。時計を見ると未だ夜中だった。確か夢の中で佐久さんと一緒に温泉に入っていたはずだった。もう少しというところで意識が無くなってしまった。夢の中でのぼせたのだ。惜しかったが、冷静になって考えると少しおかしい。夢で何故のぼせるのだろうか、と考えて僕が寒がりなので電気敷き毛布を使っていた事を思い出した。僕は布団に入った時に寒さを感じないように、最初の温度設定を最高にしておくのだ。そして布団に入った時に温度設定を下げる事にしているのだ。でも昨夜は布団に潜り込むと直ぐに眠ってしまったのだった。
『そうかだからのぼせてしまったのか』
 そう納得したのだが、現実に敷毛布の温度設定を見て見ると「切」になってるのだった。
『誰かがこの部屋に入って来てスイッチを切ったのだ。それは誰だろうか』
 僕はそう考えた。
 ベットから抜け出して部屋の入り口を確かめると鍵は掛かっていた。でも部屋の気配には、さっき迄誰かがこの部屋に居た感じなのだ。
 まさか佐久さんが居てくれたのだろうか? まさか、それは無いと思った。僕の気のせいだったのだろうか? 現実にはそうなのだろう。僕はそう結論した。
 翌朝、大学に行く前に佐久さんが部屋にやって来た
「おはようございます」
「あ、おはようございます。朝からどうしたのですか?」
 僕の質問に佐久さんは
「実は厚かましいのですが、お願いがあってやって来ました」
 お願いとは何だろう。僕はそんな事より佐久さんの格好ばかり見ていた。だって今朝の彼女は薄いブラウスにミニスカートという出で立ちでブラウスは薄い花柄が入っているので直接は透けて見えないが肩の所にブラジャーの紐は確認出来なかった。今朝もノーブラだと思った。ミニスカートから伸びた脚は少しむっちりしているがスラリとして綺麗な曲線を描いていた。
『堪らないな』
 頭の中でそう思っていたら
「実は田舎から出て来る時に実家の親が食べる事に困らないように、色々な食材を送って持たせてくれたのですが、流石に一人では食べきれないので、今夜遅くならなかったら一緒に夕食を食べませんか」
 何と! 彼女の方から、そんな有り難い事を申出てくれるなんて……僕は幸せ者だ。
「ありがとうございます。昨日の肉じゃがの鍋も返して無いのに」
「肉じゃが、お口に合いました?」
「はい、正直生まれて一番美味しかったです!」
「そうですか。それは良かったです。健太さんが喜んでくれてわたしも嬉しいです。では今夜お誘いに伺いますから、よろしくお願いします!」
「ありがとうございます!」
 僕はそう言ってドアを閉める佐久さんを何時までも見つめていた。あわよくば夢の中なんかじゃなく、現実に佐久さんと深い仲になれるかも知れないと思うのだった。

となりのサキュバスちゃん 第2話

 僕は佐久さんが帰った後もその場に佇んでいた。頭の中には先ほど、この眼で見た佐久さんの豊かな胸の谷間がくっきりと頭の中に残っていた。薄いセーターの中には豊かな谷間が眠っているのだと思うと体の血がたぎるのを感じるのだった。あの胸はきっとノーブラに違いない!
 それは佐久さんが動く度に不規則に揺れる動きからも判った。ノーブラは男のロマンだと僕は思う。だってそうじゃないか、あの薄いセーターの下には何も身に付けていないのだと考えるだけでご飯が三杯はイケる!
 何時までも立ち尽くしていたので、すっかり日が暮れてしまった。僕は佐久さんが作ってくれた肉じゃがの入った鍋を火に掛けた。その時僕は気が付いた。鍋でくれたという事は、また鍋を返さなくてはならないと言う事だと……。
 と言う事はまた佐久さんと二人だけになるチャンスがあると言うことだ。今思い返してみると、最初に挨拶に来た時は確かミニスカートだったと思い出した。今思えば、あの時もっと良く見て居れば良かったと思った。惜しいことをしたものだと考えた。
 ならばこの鍋を返す時にもっと積極的に出て佐久さんとの関係を近づけなくてはならないと思った。僕の考えは更に妄想を生んで行った。このとき僕は冷静さを失っている事に気が付かなかった。
 温まった肉じゃがを大きな器に移して箸をつける。
『美味しい!』
 なんて味なんだ。まるで体が蕩けるような味だと思った。美人で巨乳でしかも料理上手! 理想じゃないかと僕は思うのだった。

 わたしはサキュバス。日本語だと「夢魔」とも言うわね。サキュバスの使命は男の子の精子を抜き取ること。それを仕事の相棒のインキュバスに渡すの。インキュバスはそれを子供に恵まれない夫婦の女性に与えて子供を授けるのよ。え? まるで神様みたいだって? そうよ悪魔なんて天使の成れの果てなんだから多少の違いはあれど同じようなものよ。でも神様と違うのは、それが人間の望んだ行為ではないということね。まあ、十代の男の子なんて頭の中の八十パーセントは女の子のことしか考えていないんだけど、子供が出来ない夫婦だって夢の中でインキュバスに精液を仕込まれる訳だから、旦那以外の子種と言うことは明白な訳で、それが神様から言うと悪くふしだらな行為だと言われているのよね。まあ悪魔だからいいんだけどねえ。
 それでね。今度の命令は健康で容姿端麗な日本人の若い子の精子を抜き取ることなの。色々探して、わたしが目を付けたのがこのアパートに住む山縣健太という大学生。背が高く、容姿も端麗なのよ。何よりなのは、とってもカワイイのよ。ジャニーズのタレントなんて、ごめんなさいして通り過ぎるぐらいなのよ。しかも彼が通ってる大学はレベルが高いので有名。つまり三拍子も四拍子も整ってるという訳なの。どうせなら優秀な男の子の精子が欲しいでしょ。
 だから彼の部屋の隣が空いたので早速引っ越して来た訳。挨拶の時に手を握って印象づけたし、今日はノーブラの姿で特製の肉じゃがを届けたわ。あれを食べると効果テキメンだと思う。なんせ悪魔界に伝わる秘伝の媚薬をたっぷりと入れてあるからね。
 もう食べたかしら。食べたなら今夜が楽しみだわ。媚薬のせいで思うがままに操れるわ。早速、今夜の夢の中に忍び込んでみるわ。

 佐久さんから貰った肉じゃがを食べてから何だか体調がすこぶる良い気がする。何ていうか活力がみなぎってる感じなのだ。それにしても佐久さんの肢体を思い出すと堪らなくなる。大きく揺れていた胸も良いし、あのヒップというか腰回りの豊かさも忘れられない。それにしても妙だ。二回会話を交わしただけの人に何故こんなに興味を持ってしまったのだろう。何時もの僕らしくないと思った。
 まあ、明日はこの鍋に何かを入れて返しに行こう。もしかしたら、もっと親しくなって良いことが起きるかも知れない。僕はそんな妄想をしていた。
 その夜、僕はいつもの時間より早くベッドに潜り込むといつの間にか眠りに落ちていた。

 僕は何処かの温泉に居て、露天風呂に入っている。景色も良くいい気分だった。宿の人に訊いたところ、この露天風呂だけは混浴だそうだ。夜になると湯気が凄く視界が悪くなるので結構男女が入って混むそうだが視界が良い昼間は余り人が入らないとのことだった。
 そんなことを聞いていたせいか、僕はノンビリとした気分だった。そうしたら、入り口の引き戸が開いて誰かが入って来たみたいだった。近くに来るまでその人が誰だかは判らなかった。でも
「あら、健太さん?」
 その声に聞き覚えがあった。確か佐久さんの声に似ていると思った。でも、あり得ない。だってここは何処かの地方で僕や佐久さんが住んでる東京ではない。それにいきなりこんな場所に佐久さんがやって来るなんて考えられないことだった。でも湯気の中に現れたのはバスタオルで体を包んだ佐久さんだった。長めの髪の毛はタオルで巻いてありうなじが現れていて、それはそれは色っぽかった。しかもバスタオルで隠してあるとは言え、胸の大きさは隠しようがなく、胸の谷間もバッチリだった。バスタオルの裾から伸びる長く美しい脚。それに何と色が白いのだろうか、僕は見とれてしまった。この時、僕は二人だけだった事に感謝し、永遠に誰も入って来ないことを祈った。
「お一人ですの?」
 佐久さんは僕の姿を見つけるとにこやかに話しかけて来た。
「ええ、佐久さんはどうしてここへ?」
「あら、わたしがここに来てはおかしいですか?」
「いえ、余りにも突然だったもので驚いているところです」
 そんな受け答えしながも僕の視線は佐久さんの肢体に注がれていた。
「そちらに行っても宜しい?」
 そう言って僕の返事には構わずに佐久さんが僕の隣にやって来た。匂うような女の色気を感じてのぼせそうだった。

となりのサキュバスちゃん 第1話

 僕の名は山縣健太。某都内の大学に通う学生で、一人暮らしを始めて一年が過ぎようとしている。
 僕の住んでいるアパートは二階建てで全ての部屋がワンルーム形式となっている。六畳の洋間に小さな台所とバス・トイレが付いている。窓の外は小さなベランダがあり、そこに洗濯物を干すようになっている。ちなみにこのベランダに洗濯機も置いてある。
 要するに一人暮らし向きのアパートなんだ。築二十年以上経っているのでこの辺りにしては家賃が安い。一階二階共々五部屋があり二階の端にある僕の部屋の隣以外は埋まっていた。
 ここは都心から私鉄で二十分ほどの所にあり、駅からここまでは再開発されたらしく新しいマンションやアパートが立ち並んでいる。僕の住んでるアパートは駅から徒歩で十分ほどなのでそれらを通り過ぎた所にある。だから家賃も安いのだと思ってる。
 僕の通う大学は駅の反対側にあるので僕は大学には自転車で通っている。貧乏大学生には自転車は必需品だ。まあこれも近所の自転車屋さんで中古で買ったのだけどね。
 講義のない日はバイトに通っている。親からの仕送りも充分ではないから、バイトをしないとやって行けない。
 そんな僕の日常に変化が起きた。僕の隣に誰かが引っ越して来たのだ。それは突然で、春になり新学期が始まった頃だった。バイトから帰って来て一休みしてる時に部屋のチャイムが鳴った。ちなみに、このアパートにはインターフォンなどというものは無い。僕の部屋のチャイムを鳴らす者などは殆どいない。友人なぞは直接ドアを叩いて「いるか~」と叫ぶからだ。さしずめセールスか何かだと思ってドアを開けた。速攻で断ろうと思ってドアを開けた。でも、そこに居たのはセールスの人ではなかった。
「夜分、すいません。この度隣に越して来た『佐久』(さきゅう)という者です。ご挨拶に伺いました。今後よろしくお願いします!」
 そう言って、その人はタオルの包を差し出した。
「あ、山縣と申します。こちらこそよろしくお願いします!」
 そう返事をして前を見ると、二十代前半の美人が立っていた。色が白く、透き通るような肌をしていて、髪は艶のある黒髪が肩の下まで伸びていた。涼やかで大きめな目が微笑んでいた。そして赤く小さな口から
「わたし、東京は初めてなものですから、色々と教えてくださいね」
 そう言ってニコッと笑った。正直、かわいいと思った。少し年上みたいだが、そんなのを感じさせなかった。そして持っていたタオルの包を差し出した
「ほんのお印です」
 僕は慌てて
「あ、ありがとうございます。ご丁寧にすみません」
 そう言って受け取ろうとすると、僕の手を握って来たのだ。面食らう僕に
「色々とご迷惑おかけすると思いますがよろしくお願いします!」
 もう一度そう言って微笑んだのだった。柔らかい手の感触を残して顔を上げると、春物の体に密着した緑のセータの下には豊かな膨らみがあった。思わず目が行ってしまった。美人で可愛くて巨乳。何と素晴らしい人が隣に越して来たのだと僕は嬉しくなったのだった。
 このアパートの住人は大学が近いせいもあり、学生が半分を締めている。その他はサラリーマンが二名で残りの三名はどうやら水商売に勤めているような女性だ。帰って来るのが遅いのでそう思った。だから隣に越して来た佐久さんも、そのたぐいだと思ったのだが、どうやら外れていたみたいで、彼女は夜遅く帰って来たりはしなかった。
 ある日のこと、大学から帰って来て何を食べようか考えていたら、部屋のチャイムが鳴った。出て見ると隣の佐久さんだった。手には小さな鍋を持っていた。
「こんばんは~。実はお願いがあって来ちゃいました」
 彼女と会話するのは二度目だが、こんな言い方をされれば悪い気はしない。
「はい。どんな御用でしょうか?」
「実は、今日寒いので肉じゃがを作ったのですが、今まで一人分なんて作ったことが無いので作りすぎてしまいまして。もし良かったら食べて頂きたいのですが……」
 何と幸運な。肉じゃがなんて一人暮らしをしてから、まともに食べたことなんて無かったので有り難く頂戴する。
「こちらこそありがとうございます。本当に助かりました」
 そう言って受け取ろうとすると
「溢すと大変なので、良かったらこのままガス台に置いて行きます」
 そう言ってくれたので
「そうですか、ありがとうございます」
 そう言って彼女を部屋に上がらせた。彼女は慎重に鍋を持って台所に上がって来た。ちなみにこのアパートの造りは、ドアを開けると台所があり、ガラス戸で仕切られて六畳に繋がっている。入って右側にはバス・トイレがあるのだ。
 彼女はゆっくりと足を運んでいる。僕は彼女の後ろから付いて行ったのだが、これが眼福ものだった。と言うのもこの日の格好だが、上はやはり体に密着したVネックの山吹色のセーターで、豊かな胸が彼女が歩く度に不規則に揺れているし、下はデニムのスリムなのでやはり体の線が顕になっている。素晴らしかったのは彼女のヒップラインで、豊かな曲線を描いていたし、お尻もキュッと持ち上がっていて日本人離れしていた。少し外人の血が入っているのかも知れないと思った。よく見るとクオーターかも知れないと思った。それぐらい少しエキゾチックだった。
 僕は歩く度に揺れる胸とお尻に視線が釘付けだった。こんな素敵な人が僕に親切にしてくれる……。そう思うだけで胸が高鳴るのを感じるのだった。
「上手く置けました。美味しくないかも知れませんが……」
 佐久さんはそう言って僕の方に振り返った。その時胸の揺れが普通では無かった。僕は心の中で
『もしかしてノーブラなのかな?』
 そう思ってしまった。そうすると、あの薄いセーターの下には豊かな……。そう思うと表情が崩れてしまった。
「貰って頂けて本当に良かったです。また何かありましたらお持ちしますね」
 佐久さんはそう言ってお辞儀をした。その時にセーターの胸の開いた所から彼女の胸の谷間が顕になった。僕の視線はそこに釘付けになる。
「それでは失礼します」
 そう言って佐久さんは帰って行ったが、僕はその場に暫く佇んでしまった。
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