小説「7つの大罪」

今日も特別ネタが無いので下手くそな小説を載せます・



「7つの大罪」
 古代よりキリスト教において人間には7つの大罪があるとされている。
 正確には人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを言うらしい。
 その罪は重たいものから順に「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」とされているらしい。らしいと言ったのは私はキリスト教徒では無 いし、これを扱った「セブン」と言う刑事映画もTVで見ただけだった。正直最後が良く判らなかった。いや正確にはストーリーは判ったのだが、正直あれは予 見出来たと思うし、主人公のミスだと思う。
 そう言ったら友達から相手にされなくなった。これは何の罪だ?

 2008年にローマ法王が新しく「7つの大罪」と言うものを発表した。遺伝子改造・人体実験・環境汚染・社会的不公正・貧困・過度な裕福さ・麻薬中毒である。
 正直、こちらの方が良く判る。だが貧困と裕福が罪とは……お笑い草だと思った。そう口にしたら友人が居なくなった。勝手にしろだ……

 今の世の中で、この新しい大罪を国家で平気で行ってる国がある。
 凄まじい環境破壊、底なしの汚職、遺伝子改造をした食品を人間に食べさせている国々。
 あげればキリがない……だから今持って重要なんだと言われれば、そうなのだが……

 ボスから今回の作戦の説明を受けた。ある地球の植民コロニーが地球連合の政府のコントロールを受けなくなっているのだそうだ。
 すでに、地球本星とコロニーの交通航路は遮断され事実上断交状態になっている。
 しかし、地球はコロニーと武力で一戦交える気は毛頭ない。資源や人員の無駄さからだ……どちらの? 勿論地球の方がだ。
 地球としてはコロニーが独立独歩でやって行けるなら、静観するつもりだった。
 だが、昨年コロニーは「サイオン」と名乗り正式に独立を宣言して、地球に対して過去の地球によるサイオンに対する制裁に対して保証を求めたのだった。わかりやすく言うと「金をよこせ」と言う事だ。
 勿論、地球はこれを断り、事実上無視をした。
 それからひと月後、サイオンからミサイルが地球に打ち込まれたのだ。着弾点は人が暮らしていない砂漠の中だったが、明らかな脅かしだと連邦政府は決定して、サイオンに対して第1級の経済制裁を行った。
 それに対してサイオンは第2弾の攻撃として北極にミサイルを打ち込み、氷を溶かし、世界の20%の都市を洪水にさせた。
 それに対して地球連邦政府は明確な答えを出していない……要するに纏まらないのだ。それはサイオンに対して利害のある地域(かっての国)が武力攻撃を反対しているからなのだ。
 
 そこで、俺ら民間の会社がこっそりと仕事を請け負ったと言う訳だ。
 俺の会社が何をしてるかって? 
 それは、俺の勤務している会社の主な業務内容は、細菌の開発研究さ。
 本来は未知の病原体を研究して、病気に効く薬を開発するのだが、今は、薬剤の無い細菌を開発するのが主な仕事となっている……そう細菌兵器の開発だ。

「明後日の午後3時にサイオンに向けて発射するそうだ。表向きは郵便船と言う事だが、荷物に例の細菌が詰まってる。向こうの弱い磁力に反応して船の倉庫を開けたら一気に広がる……一月もあればサイオン中に広まる……それで終わりさ」
「俺は何をすればいいんですか?」
 ツマラナソウな俺にボスは笑って
「逃げ出して地球に来る脱出用の船を尽く叩き潰す事だ。お前の好きな仕事だよ」
 そう言って笑っていた。

 計画通り、郵便船がサイオンに到着して細菌がばらまかれた様だ。
 これは立派な7つの大罪になると俺は思った。遺伝子改造・人体実験・環境汚染とご丁寧に3つも入っている。その前の大罪においては既に全て犯している。
 地球人はサイオンに出向いては地球上では出来無くなった事をやり尽くして来たのだ。もうお分かりだろう。地球上では道徳的に許されないあらゆる事を「観光」の目的の下で行ったのだ。
 確かにそれによってサイオンの経済は回っていたが、地球人はやり過ぎたのだ。
 今回の氾濫の元にはそこに原因がある。サイオンの住民も余りにも無法な地球人の観光客に対して切れたのだ。
 我々地球人は決して褒められない事ばかりをサイオンで行ったのだ。

 サイオンの様子は地球でも確認することが出来た。お互いの様子を映すモニター回線は繋がっていたのだ。
 それによると、一件平穏な感じだったが、ある時、暫くぶりにサイオンからミサイルが打ち込まれた。それは大きな爆発もしなかったが、空気のような気体がミサイルの残骸から漏れていた。
 
 数年後、宇宙連邦政府は太陽系を「立ち入禁止区域」に指定した。
 「未知の病原体による汚染」と言う名目だった。
 まあ、誰もこの銀河の外れにある太陽系までやって来る者はいなかったから、宇宙的には問題にもならなかった。
 ただ、宇宙からは「7つの大罪」と言う観念は永久に無くなったのだった……

小説「アンドロイドはバスタイムの夢を見るか」

昔書いたものを晒そうと思います。

という訳で昔書いた短編です。タイトルは有名なSF小説をモジリました。

「アンドロイドはバスタイムの夢を見るか」
 およそ、古代から色々な発明品があり、それぞれ人の暮らしを豊かにして来たが、近年に置いて、最高のそれは家庭内アンドロイドの出現だろう。

 何しろ、およそ家庭内で人が行動するあらゆる作業をこなし、その知識はインタ-ネットを通じて無限の教養を誇り、またその器用さは人の及ぶ処では無かった。
 あまつさえ、その姿は年々改良され、今では本物の人間と区別がつかない様になっている。只、声だけは合成音声であり、その点だけは改良が許されていなかった。

 だが何処にも裏の道と言うものはあるもので、闇社会ではより人に近い音声に変えるプログラムが取引されており人気の声のプログラムは高値で取引されていた。中でも人気の女優や声優の音声が人気となっていた。

 家庭内アンドロイドにはタイプがあり、それぞれ得意な分野別に別れて発売されていた。
 ・Aタイプは、一般的な家事が得意なタイプでこれが一番売れていた。
 ・Bタイプは、介護に特化していて、血圧や脈、簡易な健康診断機能も備えていた。
 ・Cタイプは、心のケアが必要な患者のために作られていて、精神病患者に対する備えも織り込まれていた。
 そして、裏ルートでこれらを改造されて販売されていたのが、Dタイプで、性を奉仕するために改造されたものだった。
 皮肉な事にAタイプを購入しても、Dタイプに改造を頼む者が多く、それらの改造業者は大層繁盛していた。

 政府はこれを厳しく取り締まったがイタチごっこを繰り返していた。
 政府としては只でさえ人口の減少に悩んでいる時に、生殖機能を保たないアンドロイド型ロボットとの行為は許してはならなかったのだ。
 そこで、アンドロイドGメンと言う組織が結成された。その改造を行っている業者を徹底的に壊滅するのが目的なのだ。

 宏はこの組織のメンバーの募集に応募した。
 元々はアンドロイドのエンジニアをやっていたが、その仕事に疑問を持ったのだ。それと、機械相手じゃ無く人間相手の仕事をしてみたかったからだ。
組 織の大元の経済産業省でも、メンバーに専門家が居るのは願っても無かったので、採用されたのだ。給料も今までよりかなり良かった。
「これで、嫁さんに旨い物でも食べさしてやれる」
 宏はそう思っていた。

 仕事に就いてからの宏の活躍は凄まじかった。以前の仕事からの知識や人間関係を通じて、常識では考えられない線で連中を吊し上げる事に成功していた。いわゆる「蛇の道は蛇」と言う事である。いつしか「鬼の宏」と呼ばれる様になって行った。

 そんな時だった。家庭用アンドロイドは通常はそのプログラムの更新のために二ヶ月に一度ネット回線を通じて、制作した会社のサーバーと交信をしなくてはならなかった。
 そして、その日は地球上にある、Aタイプのアンドロイドが交信をする日だった。
 だが運が悪いと言うか、その日はサーバーに接続するプロトコル解析サーバーの調子が悪く、申し込むアンドロイドに対して更新の処理が追いついていなかった。
 更新が終わるまではアンドロイドは作業をする事が出来ない。プログラムに書かれた作業をするにはサーバーから更新の許可を貰わないと出来無いのだった。

「いったいどうしたのだ!アンドロイドが動かないじゃ無いか?」
 あちこちでそう言った声が聞かれ始めていた。やがて、それはアンドロイドの販売会社に抗議となって現れた。
 会社側も原因を突き止め様としているのだが、原因がこの会社の責任外だったので、判り様が無かったのだ。
 頭に来た持ち主が更新の済まないアンドロイドのリセットのスイッチを押してしまった。一見正常に動き出したかに見えた為、ぞくぞくと真似をする人が増え始めていた。
 暫くすると問題が起き始めた。家庭内の作業がひどく乱暴になってしまったのだ。
 それは段々ひどくなり、ついに人が事故で亡くなる事態になってしまったのだ。いわゆる、暴走が起こってしまったのだ。
 更新プログラムが動作しない為、初期の不完全なプログラムのままになったしまったからだった。
 経済産業省は事態を重く見て、Gメンに、全ての家庭用アンドロイドを回収する様に命令を下した。
 家庭用アンドロイドを持つ事は違法となったのだ。
 この回収は徹底的に行われ、この世には裏世界のセックスアンドロイド以外は無くなっていた。

 宏の忙しかった仕事もやっと一息だ。今後は裏のセックスアンドロイドの取り締まりだけがメインの仕事となる。
 こちらは、見逃せは沢山の賄賂も見込めるので宏としては悪く無い仕事だった。
 性の相手をさせられて人身売買なんかをするより、アンドロイド相手の方が何倍も良いと思ったからだ。必要悪と言う事だと思っていた。
 一日の仕事を終え家に帰る宏
「ただいま、今帰ったよ」
「おかえりなさい!ご飯にしますか?お風呂にしますか?」
 愛妻が聴いてくれる。十年一日の如くなのが玉にキズなのだが……
「風呂にする」
 そう短く言うと愛妻は着替などを用意してくれる。
「貴方のお好きな40℃にしてあります」
 そう言われ温度を確かめると
「一緒に入ろう」と愛妻を誘うと
「はい」と短く言って浴槽に入って来る。
「防水は大丈夫だろうな?」
 そう訊くと愛妻は
「大丈夫です。パッキンは新品ですから。自己管理プログラムは正常に動作しています」
「そうか、なら安心だ。さあおいで」
 宏はそう言うと見事な肢体の愛妻を抱いたのだった。

「全く、人間は愚かだ、アンドロイドだってメインサーバーの電源を切ればそれで動かなくなるのに、初めに原因を追求なんかするからさ。そんなのは後でいい んだ。ひとは過去の災害の教訓も忘れてしまう生き物なんだな。こいつは俺が個人的に改良したタイプだから会社のサーバーの影響を受けない。その点では裏の アンドロイドと同じだが、こちらは万能型さ。それに誰にも見破られはしない……」
「ご主人様、今日はお仕事大変でしたか?」
「ああ、大変だったけど、お前とこうして楽しんでいると、全て忘れてしまうよ」
「それは嬉しいです」
 そう言ってアンドロイドは唇を重ねてきたのだった……


ララノコン最終結果が発表されました。

ララノコン最終結果が先ほど発表されましたね。

・最優秀賞  「アリスの物語」         倉下忠憲 様

・特別賞    「明日が雨でも晴れでも」   晴海まどか 様

・アキバ賞   「小さな先輩と小旅行」    マホ 様

・livedoor Blog賞 「俺、下ネタ抜きの真面目なラノベを書くよ」  名無しのvipper様

 となりました。
受賞された皆様、本当におめでとうございます。
 
私の予想と少しズレましたが、「アリスの物語」と「小さな先輩と小旅行」が賞に選ばれて本当に嬉しいです。
そんなに外れなかったので、予想を公開した身としては赤っ恥をかかずに済んだと言う感じです。
特に、特別賞に輝いた「明日が雨でも晴れでも」の感想では勝手な思い込みを書きまして申し訳ありませんでした。

と言う訳で昨夜から怪しげな情報が飛び交っていましたが、ちゃんと決着してよかったと個人的には思っています。

これで、ララノコンも終了ですね。
と言う訳でこのブログも、不定期更新になります。
毎日、訪問してくれた皆様、本当にありがとうございました。m(_ _)m
これからは面白いネタとか自作の宣伝とかを忘れた頃に書き込んで行くと思います。
ご縁がありましたら、またその時にお目にかかりたいと想っております(^^)

追伸……ララノコンに参加していた他の2作品のブログを削除させて戴きました。

ネット上の面白いサイト 2

ララノコンの発表もいよいよ明日となりましたね。
各受賞者の方々にはもう連絡が行ってるのでしょうか?
部外者の私でも楽しみです。

今日は、無難な話題を……

小説を書いて、「自分の実力はどの程度なんだろう?」と思った方はいらっしゃると思いますが、
小説投稿サイトで、審査制の所があるのをご存知でしょうか? 
投稿しても、すぐに載る訳でも無いのです。
審査されて、一定基準に満たされない小説や文章は却下破棄されてしまうのです。
ちょっと面白いと思いませんか?……と言う訳で

文豪 「世に出る文章」を目指す人のためのフィールド。と言う言葉が冒頭に載っています。
更に、冒頭に書いてある事をコピペしてみます。
「文豪」は皆さんとともに成長していくサイトです。
利用者は文章の投稿(審査制)・評価・レビュー(コメント)が可能です。(無料ユーザー登録が必要)

投稿された作品は「文豪」コンシェルジュ一同が審査を行い、通過したものはトップページに順に掲載されます。
優れた作品をご紹介し、将来の『文豪』を輩出することを目的としています。

投稿のジャンルは、ノンフィクション、自叙伝に加え、小説(ミステリー、短編小説、ライトノベル、SF、時代小説、推理小説、アクション、サスペンス)など、幅広いものが可能です。
現役の文芸誌の編集長も審査に参加します。
たくさんの方に自分の文章を見てもらい、評価を受け、文章力を磨いていきましょう。
※投稿に関しては事前に「投稿ガイドライン」を必ずご一読下さい。

他のサイトと同じ様に登録制となっています。

ちなみに私は未だに掲載されていません!
と言う訳で、明日が楽しみです。

明日は、結果発表後に更新します(多分……)

小説「受け継がれるもの」

え~今日はネタが無いのでお休みしようと思いましたが、それも芸が無いので、人の迷惑顧みずに自作の下手くそな小説を載せておきます。読む価値もありません。明日は何か有益な情報を載せますね。

これからやって来る「入学式」を題材に取った話です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「受け継がれるもの」

 中学を卒業してから、母校に来るのは実は初めてだ。理由は良く判らない。
 さしずめ「なんとなく」だがそこに若干の後ろめたさがあるのも事実だ。何故なのか? 考えて見た事があるが、良く判らない。
 強いて言えば、卒業する時に思っていた将来像と今が、かけ離れているからかも知れないと思い当たった。そうしたら、何とか言う作家が著書で「卒業した母校は卒業生は行ってはならない場所だ。何故ならそこは卒業生が訪れる場所では無いし、そこは在校生の場所 だからだ。だから卒業生はそこを訪れる時に若干の後ろめたさを味わうのだ」と書いてあったのを読んで「俺だけじゃ無かったのか」と思い安心をした。そうでなければ、今日俺はここには来なかったろう。たとえ娘の入学式でも……

 入学式の様子なんて大抵どこでも同じと相場は決まっている。
 校長の挨拶、生徒代表の歓迎の言葉。入学生代表の御礼の言葉、校歌斉唱……殆んど何処でも同じだが、今日は俺にとって若干違っていた。
 壇上で挨拶をしている校長は俺のいや、俺達同期なら特別良く知っている人物だったからだ。
 望月岩男、俺達はモッチャンと呼んでいた。俺達が悪い盛りだった頃の現役の教師で、しかも教務主任をしていた。
 あの頃…‥俺達は良くも悪くも真面目だった。いや、真面目というより一直線だったと思う。社会科の教師でろくに真面目に授業をしない教師を吊し上げ、授業をボイコットし、教師を教室に缶詰にして、真面目に授業するように交渉した、いいいや吊るし上げたのだ。
 モッチャンはそれを見て「納得の行く迄やりな」と俺達の味方をしてくれ、次が自分の持ち時間だったにも係わらず、俺達に時間をくれた。

 そうあの頃、俺達は必死だった。
 県立高の受験科目はあの頃は国。数、英、社、理の5教科だった。
 私立一本槍の連中は感じていなかったかも知れないが、公立を目指してる連中にとっては、1科目も疎かに出来ない、だから皆必死だったのだ。あの教師はそこが判っていなかった……

 式が終わり生徒達はそれぞれの教室に分かれて行く。
 俺は体育館の外に出て渡り廊下を歩いて行く我が娘を眺めていた。
「なんだ来ていたのか?」
 不意に後ろから声を掛けられた。振り向くとモッチャンだった。
「先生、校長がこんな所で油売っていてもいいんですか?」
「なあに、用があれば呼びに来るだろうて」
「確か、娘さんだったな」
 俺の横に立ちながらポケットからタバコを取り出して、少し先にある喫煙場所の灰皿に向かう。全く、中学校なら全面禁煙にしろよな……そう思いながら俺もポケットからタバコを取り出してそれに続く……
「いいんですか、タバコなんて生徒の前で吸って……」
「何言ってるんだ、お前の頃は教室に灰皿があった」
 確かに、そうだった。でも家で隠れてタバコを吸っていた奴はいただろうが、俺は高校卒業まで一本も口にしなかった。
 高校の卒業式の後で吸ったのが初めてだった……大して旨いとも思わなかった……
 モッチャンとは同期会の度に会って話しあっている。

 喫煙所で、俺はモッチャンと向かい合いながら
「さっき、俺らがボイコットした時のことを思い出していたんですよ」
「ああ、あの時のことか、今でも良く覚えているよ。なんて言っても、あんな事やらかしたのはお前達が最初で最後だったからな」
 鼻と口から煙を吐き出しながらモッチャンはそう懐かしむ様に呟いた。
「でしょうね。サボりたくてボイコットするなら兎も角、勉強したいからボイコットして教師を吊し上げるなんてのは普通は考えませんよね」
「でも、確か、あの年はエラく進学率が良かった。確か県で一番になったんじゃ無かったかな?」
 モッチャンはタバコの灰を落とすと2ふく目を口にした。
「どうして、あの時先生は俺達に賛成してくれたんですか?普通なら『ヤメロ』と言うハズですよね?」
 その俺の問いにモッチャンは煙を吐き出しながら
「次が丁度英語で俺の時間だったし、あのクラスは俺が担任だったから、いずれにせよ責任は俺に掛かって来る。ならば徹底的に納得の行くまでやらせようと思ったのさ」
「そうでしたか……俺たち信用されていたんですね……」
「信用というより信じていた、と言った方が正解に近いかな……処で今日奥さんは?確か同級生だったよな。式に呼んでくれたしな」
 言ってからモッチャンは「不味い事を訊いたな」という表情になった。
「もう2年が過ぎました。やっと馴れて来た処です。俺たち「父子家庭」なんですよ」
 モッチャンはバツの悪そうな顔になり
「そうか……病気だったのか……全く知らなかった」
 そうタバコを消しながら言った。
「進行性のガンでした。最後は俺に子供の事を頼むと言い残して亡くなりました」
 そう俺が言うとモッチャンは今度は2本目を出して火を点けて煙を吐き出し
「安らかな顔だったか?」
 そう訊くので俺は
「ええ、本当にガンのくせに安らかな顔でした」
「きっと奥さん、お前の事信じて無くなったのだろうな」
 モッチャンはまるで見ていた様な事を言うので
「何かあったのですか?」
 俺はそう聞き返した
「ああ、うちの奴も去年死んだ。交通事故だった、即死じゃなかったが、それで持病が悪化してな」
「そうだったのですか、全く知りませんでした」
「家族以外には誰にも言わず密葬にしたからな、まあ本人の遺言なんだがな。最後は俺を信じてくれたからな。お前の場合もそう思ったのさ」
 モッチャンは2本目を旨そうに吸い終わると灰皿に吸い殻を投げ入れた。
「ジュツ」という音がして火が消えたのを確認するとモッチャンは俺に
「俺もあと3年で退職だ。つまりお前の娘さんの卒業と一緒にこっちも教師生活卒業さ」
「宜しくお願いします」
 俺はそう言ってモッチャンに頭を下げた。
「ああ、学内の事は任せて欲しい」
 そう言って笑っていると、向こうからHRが終わったのだろう、娘がこちらにやって来た。
「行ってやれ!」
 そうモッチャンに言われ俺は娘の所に向かう。
「お父さん!」
 手を振る娘の姿に亡き妻の面影を見てしまうのは、情けない事だろうか?でも、俺は娘が健やかに育ってくれるのを信じるのだった。



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